妊婦さんが摂ったほうがよい食べ物・控えたほうがよい食べ物とは?

PRあり2023/11/30 2023/07/12

妊娠中の食事は赤ちゃんの成長にも大きくかかわるため、いつも以上に食べ物には気をつけたいもの。この記事では、妊婦さんが食べたほうがよいもの、食べないほうがよいものなどをメインに、妊娠中の食事について詳しく解説します。

【時期別】妊婦さんの食事による影響

【妊娠前~妊娠3ヶ月】神経管閉鎖障害予防

妊娠前から妊娠3ヶ月頃には、神経管閉鎖障害の発症予防のために、葉酸(ビタミンB群の一種)を積極的に摂る必要があります。

神経管閉鎖障害は妊娠4週~12週目頃に起こることがある先天異常です。神経管がうまくつくられないことで、運動や排泄、脳などの障害につながります。

妊娠4週というとだいたい受精後2週間頃で、妊娠に気が付いていない人がほとんどなので、妊娠に気づいてから葉酸を摂るのではなく、妊娠前から葉酸摂取を心がけるとよいでしょう。

日本では、2000年に厚生労働省から、「妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に関する通知」が出されており、葉酸摂取の重要性が知られるようになりました。

葉酸の推奨摂取量

・妊娠中:480μg/日
・授乳中:340μg/日

葉酸が多く含まれる食べ物

・野菜
・柑橘類
・レバー
など

なお、葉酸が効率よく体内で使われるためには、サプリメントなどの利用が推奨されています。

【5ヶ月以降】赤ちゃんに栄養が届く

妊娠5ヶ月(16週)頃になると胎盤が完成し、赤ちゃんはお母さんから栄養をもらうようになります。この時期を目安に、これまで以上に食事に気を遣うようにしましょう。

なお、胎盤が完成するまでは、赤ちゃんは卵黄嚢(らんおうのう)という器官から栄養をとっているので、葉酸以外については過度に心配する必要はありません。

妊婦さんは「バランスのよい食事」を心がけて

妊娠中の食事の基本は、「バランスのよい食事」です。まずは、主食、主菜、副菜、果物、牛乳・乳製品を全て摂ることをこころがけましょう。

もっと厳密に食事に気を遣いたい方は、厚生労働省が発行している「妊産婦のための食事バランスガイド」を参考にするのがおすすめです。

妊婦さんが摂ったほうがよい食べ物・栄養素

ここからは、妊娠中に積極的に摂ったほうがよい食べ物や栄養素を紹介します。

鉄分【貧血予防】

妊娠中~産後は貧血になりやすい時期。貧血予防のために鉄分を積極的に摂りましょう。なお、鉄分だけでは吸収しづらいため、ビタミンCと一緒に摂取するのがおすすめです。

そのほか、葉酸やビタミンB12も貧血改善に効果が期待できます。

鉄分の推奨摂取量

・妊娠中(初期):9mg/日
・妊娠中(中期~):16mg/日
・授乳中:9mg/日

鉄分を多く含む食べ物

・ひじき
・のり類
・あさり
・しじみ
・豚レバー
・ドライトマト
・小松菜
など

食物繊維【便秘改善】

妊娠中は、大きくなった子宮によって腸が圧迫されたり、ホルモンの影響を受けたりして便秘になることも多いです。便秘予防・改善のために食物繊維を積極的に摂りましょう。

その他にも、乳酸菌などの摂取がおすすめです。

食物繊維の推奨摂取量

・18g以上/日(15~64歳の女性であれば、妊娠していないときも、妊娠中・授乳中も同様)

食物繊維を多く含む食べ物

・のり類
・わかめ
・ドライトマト
・大豆、豆類
・ごぼう
・おくら
・ほうれん草
・青汁(ケール)
・緑茶、紅茶
など

カルシウム【骨粗しょう症予防】

お母さんの食事にカルシウムが足りないと、赤ちゃんがカルシウムを得るために、お母さんの骨が使われてしまいます。骨粗しょう症の原因にもなるため、カルシウムを積極的に摂りましょう。

なお、ビタミンDを一緒に摂ることで、カルシウムの吸収が促進するといわれています。

カルシウムの推奨摂取量

・650mg/日(15~74歳の女性であれば、妊娠していないときも、妊娠中・授乳中も同様)

カルシウムを多く含む食べ物

・干しエビ、桜エビ
・かたくちいわし
・どじょう
・ふな
・昆布
・わかめ
・青汁(ケール)
・チーズ
・牛乳
・かぶや大根の葉
など

ビタミンB群【代謝をよくする】

代謝がうまくいかないと、せっかく栄養をとっても体に必要な物質に置き換えることができません。そのため、代謝をよくするビタミンB群のような栄養素を摂ることも大事です。

ビタミンB群の推奨摂取量

・ビタミンB1:1.3mg/日
・ビタミンB2:1.5mg/日(妊娠中)1.8mg/日(授乳中)
・ビタミンB6:1.3mg 1.4mg/日
・ビタミンB12:2.8μg 3.2μg/日
・ナイアシン:11~12mgNE 14~15mgNE/日
・パントテン酸:5mg 6㎎/日
・葉酸:480μg 340μg/日
・ビオチン:50μg/日

ビタミンB群を多く含む食べ物

・豚肉
・レバー
・のり類
・にんにく
・まいたけ
・たらこ
など

ツバメの巣【免疫力向上】

高級食材として知られているツバメの巣は、妊娠中によい食べ物として最近注目されています。

中国では、妊娠から産後までツバメの巣を摂取することで、お母さんと赤ちゃんの免疫力や抗ウイルス力を高める(病気にかかりにくくなる)とされています。さらに、認知学習機能向上なども期待できるんだとか。

その効果効能から、中国ではツバメの巣を妊婦さんや産後の方への贈り物とする習慣もあるそうです。
ツバメの巣について詳しく知りたい方はこちらも是非チェックしてみてください。

妊婦さんが控えたほうがよい食べ物・栄養素

一方で、赤ちゃんの発育などに影響があるために、妊娠中は控えたほうがよい食べ物や栄養素もあります。代表的なものに、以下のようなものがあります。

食べ物・栄養素 具体例 理由 摂取量の目安
アルコール ・赤ちゃんの発達に悪影響を及ぼすことがある
・中枢神経障害・流産につながることがある
摂取しないほうがよい
加熱が十分でない食べ物 リステリア菌が存在する可能性がある食べ物 ・非加熱の乳製品(ナチュラルチーズなど)
・生ハム
・スモークサーモン
など
お母さんがリステリア症(リステリア菌による重篤な食中毒)になるリスクが高い
トキソプラズマが存在する可能性がある食べ物 ・レアステーキ
・ユッケ
・生ハム
・サラミ
など
赤ちゃんが、流産や死産にもつながる先天性トキソプラズマ症になるリスクがある
その他、食中毒の可能性がある食べ物 ・生の魚介類
・生卵
など
赤ちゃんやお母さんの健康に悪影響が及ぶ可能性がある
カフェイン ・コーヒー
・紅茶
など
・流産リスクが上がる
・赤ちゃんの発育に悪影響がある
1日3~4杯まで
塩分 妊娠高血圧症候群やむくみの原因となる 食塩換算で6.5g未満/日
ビタミンA(植物由来を除く) ・レバー
・サプリメント
など
妊娠初期の過剰摂取が赤ちゃんの形態異常リスクを高める ※耐用上限量2700μgRAE/日
ヨウ素 ・サプリメント
など
過剰摂取は赤ちゃんの甲状腺機能低下につながる ※耐用上限量
2000µg/日
メチル水銀 ・バンドウイルカ
・コビレゴンドウ
・キンメダイ
・一部のマグロ
など
過剰摂取は赤ちゃんの発育に影響を与える可能性がある 左記のような魚を、1週間に50~100g程度以下におさえる
ヒ素 ・ひじき
など
赤ちゃんの奇形や脳障害のリスクがある 戻し汁、煮汁を捨て、過剰に食べすぎない限りは問題ないといわれている