心身の不調を感じ、休職を考え始めたとき、多くの場合に必要となるのが医師が発行する「診断書」です。しかし、いざ診断書をもらおうと思っても、「どこで、どうやって頼めばいいの?」「費用はどれくらいかかるの?」「会社にはどう伝えればいいの?」など、さまざまな疑問が浮かんでくるのではないでしょうか。
この記事では、休職の診断書のもらい方について、必要なケースや具体的な手順、費用、そして会社への提出方法やもらえなかった場合の対処法まで、網羅的に解説します。休職を検討している方が、スムーズに手続きを進められるよう、分かりやすくお伝えします。
休職のための診断書を取得するには、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、具体的な流れを解説します。
まず、自身の心身の状態を正確に把握することが重要です。どのような症状があるのか(例:不眠、食欲不振、気分の落ち込み、頭痛、腹痛など)、いつから症状が続いているのか、仕事や日常生活にどのような支障が出ているのかを具体的に整理しておきましょう。メモなどに書き出しておくと、医師に伝える際に役立ちます。
具体的な症状の例(フィクション)
症状 | 期間 | 仕事・日常生活への支障 |
---|---|---|
夜間不眠、朝起きるのがつらい | 1ヶ月 | 仕事中の集中力低下、簡単なミス増加、食欲不振、体重減少 |
人と話すのが億劫、外出への恐怖 | 2週間 | 顧客とのアポイントメント先延ばし、通勤電車での動悸・息苦しさ |
慢性的な頭痛、めまい | 2ヶ月 | 長時間のPC作業困難、立ちくらみによる転倒リスク |
腹痛、下痢を繰り返す | 3週間 | 会議中に席を立つ必要、重要な商談に集中できない |
些細なことでイライラする、過剰な疲労感 | 1.5ヶ月 | 同僚とのコミュニケーション悪化、退社後すぐに寝込んでしまう |
このように、具体的なエピソードを交えて症状を整理すると、医師にも伝わりやすくなります。
次に、どの医療機関を受診するかを決めます。精神的な不調が原因で休職を考えている場合は、心療内科や精神科が専門となります。身体的な不調の場合は、その症状に応じた診療科(内科、整形外科など)を受診しましょう。
かかりつけ医がいる場合は、まずはそちらに相談してみるのも良いでしょう。必要に応じて専門医を紹介してもらえることもあります。
医療機関を受診したら、医師に現在の症状や休職を考えている旨を正直に伝えましょう。ステップ1で整理した内容を元に、具体的に説明することが大切です。
医師はあなたの話を聞き、必要な検査や診察を行った上で、医学的な判断を下します。その際、「休職したい」という希望だけでなく、なぜ休職が必要なのか、休職してどうしたいのか(症状を改善したい、など)を伝えることが重要です。
医師に伝える際のポイント
医師が診察の結果、休養が必要であると判断した場合、診断書の発行を依頼します。医療機関によっては、診察後に医師に直接依頼する方法や、病院の受付・事務部門を通して依頼する方法があります。診断書には、会社名(提出先)や必要な記載事項(例:休職期間、病名など)を正確に伝えましょう。会社によっては指定のフォーマットがある場合もあるため、事前に確認しておくとスムーズです。
診断書は、診察当日に発行されることもあれば、後日発行となる場合もあります。発行にかかる時間や受け取り方法は医療機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。受け取りの際には、記載内容に誤りがないかを確認することも大切です。
心や体の不調を感じた時、「早く診断書がほしい」「できるだけ早く職場へ提出し、休職や傷病手当の手続きを進めたい」といった焦燥感に駆られる方は少なくありません。突然の不調で頭が混乱してしまい、どう動けばいいのかわからなくなるのは当然のことです。
とりわけ、これまで精神科や心療内科を受診した経験がない方の場合、どこのクリニックに相談するべきか迷ったり、診断書の取得や各種申請の具体的な進め方についても不安や戸惑いが重なります。
よりそいメンタルクリニックでは、そのような悩みを抱えた方々のために、初診からしっかりとお話を伺い、医師による適切な診察のもと、診断書が必要と判断された場合には即日発行のサポート体制を整えています。
また、当院には医療や福祉の申請手続きに詳しいスタッフが常駐しており、診断書の作成だけでなく、その後の会社や保険組合とのやり取りに関するご相談や書類手続きの具体的なアドバイスも丁寧に行っています。
面倒に感じる手続きも、一つひとつ寄り添ってご案内しますので、はじめて精神科・心療内科を利用される方でも心配せずにお任せください。不安を少しでも軽くできるよう、スタッフ一同、親身になってサポートいたします。
休職診断書には、主に以下のような内容が記載されます。これらは医師の専門的な判断に基づいて記入されるため、自分で内容を指定することはできません。
診断された病名(例:うつ病、適応障害、自律神経失調症など)と、主な症状が記載されます。詳細な症状の経過まで記載されることは稀で、簡潔にまとめられることが一般的です。
医師が判断した、療養に必要な期間(休職期間の目安)が記載されます。「〇月〇日から〇月〇日まで、約〇ヶ月間の休養を要する」といった形で記載されることが多いです。この期間はあくまで目安であり、症状の回復状況によっては延長や短縮の可能性があります。
上記以外に、就業上の配慮(例:業務負荷の軽減、時間外労働の制限など)や、復職に向けた意見などが記載されることもあります。
診断書の発行には費用がかかります。事前に確認しておくと安心です。
診断書の発行費用は医療機関によって異なりますが、一般的には2,000円~5,000円程度が相場とされています。特別な検査結果や詳細な意見書が必要な場合は、これよりも高くなることもあります。受診する医療機関に事前に問い合わせて確認しましょう。
診断書の発行費用は、原則として健康保険の適用外となり、全額自己負担となります。診察料や検査料については健康保険が適用されますが、診断書発行は保険診療とは別扱いになる点に注意が必要です。
診断書を取得したら、速やかに会社に提出する必要があります。スムーズな手続きのためのポイントを解説します。
診断書を取得したら、まずは直属の上司や人事担当者に報告し、提出方法(手渡し、郵送など)や提出先を確認しましょう。一般的には、できるだけ速やかに提出することが望ましいです。遅れる場合は、その旨を連絡しておくことが大切です。
診断書を提出する際には、口頭で病状や休職の意向を伝えることになります。 「医師の診断の結果、〇〇という診断を受け、〇ヶ月程度の休養が必要とのことでした。つきましては、休職させていただきたく、診断書を持参いたしました。」 といったように、簡潔かつ丁寧に伝えましょう。
診断書の内容について詳細な説明を求められることもありますが、プライバシーに関わる部分については無理に話す必要はありません。医師の指示に従って療養に専念したい旨を伝えましょう。
会社には診断書の原本を提出するのが一般的です。提出前に、自身の控えとしてコピーを取っておくことを強くおすすめします。後々の傷病手当金の申請手続きなどで必要になる場合があるためです。
場合によっては、医師の判断ですぐに診断書が発行されないこともあります。そのような場合の理由と対処法を知っておきましょう。
医療機関や医師の判断、症状の状況によります。初診であっても、明らかに休養が必要と判断されれば即日発行されることもありますが、数回の通院を経てから発行されるケースも少なくありません。「必ず即日発行されるもの」とは思わない方が良いでしょう。
診断書がすぐに発行されない場合でも、諦める必要はありません。
休職中の生活費に不安を感じる方も多いでしょう。健康保険の被保険者であれば、一定の条件を満たすことで傷病手当金を受給できる可能性があります。
傷病手当金は、病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給される制度です。申請には医師の証明が必要になるため、休職診断書とは別に、傷病手当金申請書に医師の意見を記入してもらう必要があります。
受給条件や申請手続きについては、加入している健康保険組合や協会けんぽの窓口、または会社の担当者に確認しましょう。
休職のための診断書は、心身の不調を抱えながら働くことが困難になった際に、療養に専念するための重要なステップです。診断書のもらい方にはいくつかの手順があり、費用も発生します。また、会社への提出方法やタイミングも考慮する必要があります。
診断書がすぐに発行されないケースもありますが、医師とよく相談し、必要であればセカンドオピニオンや各種相談窓口を利用することも検討しましょう。
休職は決してネガティブなことではなく、元気を取り戻すための大切な期間です。この記事が、休職を考えている方々の不安を少しでも和らげ、スムーズな手続きの一助となれば幸いです。無理をせず、ご自身の心と体を大切にしてください。
免責事項
この記事は、休職のための診断書取得に関する一般的な情報を提供するものであり、個別の状況に対する医学的アドバイスや法的助言ではありません。具体的な状況については、必ず医師や専門家にご相談ください。また、制度や手続きについては、変更される可能性があるため、最新の情報を関係機関にご確認ください。
関連情報
休職診断書作成手続きや、治療と就労の両立支援に関するより詳細な情報については、以下の資料もご参照ください。
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