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心療内科

軽い息苦しさも注意!パニック障害のサイン・原因・対処法を詳しく解説!


息苦しさを感じると、「もしかしたら重い病気ではないか」と不安になるものです。特に、突然強い息苦しさに襲われた経験がある方は、その恐怖から日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。息苦しさは様々な原因で起こりますが、その一つにパニック障害があります。

この記事では、パニック障害による息苦しさに焦点を当て、その原因、特有の症状、発作時の具体的な対処法、診断方法、他の疾患との違い、そして有効な治療法について、詳しく解説します。息苦しさで悩んでいる方、パニック障害かもしれないと不安を感じている方が、ご自身の状態を理解し、適切なステップに進むための一助となれば幸いです。

パニック障害による息苦しさとは

asian woman who can't sleep because of the heat - 息苦しい 日本人 ストックフォトと画像

パニック障害は、突然理由もなく激しい不安に襲われ、それに伴って様々な身体症状が現れる病気です。この激しい不安の発作を「パニック発作」と呼びます。パニック発作の症状の一つに、息苦しさや呼吸困難感があります。

パニック障害における息苦しさは、大きく分けて二つの状況で感じられることがあります。一つはパニック発作の最中に突然現れる強烈な息苦しさ、もう一つは発作が起こるのではないかという不安(予期不安)に伴って感じる持続的、あるいは特定の状況での息苦しさです。

パニック発作時の息苦しさ

パニック発作は、多くの場合、予期せぬ状況で突然始まります。そのピークは通常10分以内に達し、その後は徐々に落ち着いていきます。発作中に現れる息苦しさは、まるで息が詰まるような、空気が吸えないような感覚として体験されます。「このまま息ができなくなって死んでしまうのではないか」といった強い恐怖感を伴うことも少なくありません。

パニック発作による息苦しさは、実際に呼吸器や心臓に問題があるわけではありません。にもかかわらず、本人にとっては非常に現実的で耐え難い苦痛として感じられます。これは、後述するように、ストレスや不安によって引き起こされる身体の過剰な反応によるものです。発作は短時間で収まることが多いですが、その間の苦痛と恐怖は、その後の生活に大きな影響を与える可能性があります。

予期不安による息苦しさ

パニック発作を一度経験すると、「また同じような発作が起きたらどうしよう」という強い不安に悩まされることがあります。これを「予期不安」と呼びます。予期不安は、特に過去に発作が起きた場所や状況(電車の中、人混み、会議中など)で強くなる傾向があります。

予期不安が強い状態では、常に体が緊張し、呼吸も浅く速くなりがちです。この慢性的または特定の状況での緊張や浅い呼吸が、軽い息苦しさや呼吸のしづらさとして感じられることがあります。パニック発作時の息苦しさほど強烈ではないかもしれませんが、持続的な不快感として日常生活に影響を及ぼします。予期不安による息苦しさは、実際に発作が起きていない状況でも起こる点が特徴です。

このように、パニック障害における息苦しさは、発作中の一過性の激しいものから、予期不安に伴う比較的軽度で持続的なものまで、様々な形で現れます。どちらの場合も、本人の苦痛は大きく、適切な理解と対処が必要です。

息苦しさを感じる主な原因

オフィスで窒息に苦しむビジネスwomam - 息苦しい 日本人 ストックフォトと画像

パニック障害における息苦しさの主な原因は、精神的な緊張や不安が呼吸に与える影響と、それに伴って起こる軽い過呼吸状態です。これらのメカニズムは、心身のバランスが崩れることで生じます。

精神的な緊張が呼吸に与える影響

ストレスや不安、恐怖といった精神的な緊張は、私たちの体に様々な反応を引き起こします。その一つが、自律神経のバランスの乱れです。自律神経は、呼吸、心拍、血圧、体温調節など、意識しなくても体が自動で行っている機能をコントロールしています。

不安や恐怖を感じると、交感神経が優位になります。これは、体が危険から身を守るための「闘争か逃走か」の反応として、心拍数を上げたり、筋肉を緊張させたり、呼吸を速めたりする準備を整えるためです。このとき、呼吸に関わる筋肉(横隔膜や肋間筋など)も緊張しやすくなります。

呼吸筋の緊張や交感神経の働きにより、呼吸は浅く、速くなる傾向があります。普段は無意識に行っている呼吸ですが、浅く速い呼吸を繰り返すと、呼吸がぎこちなく感じられたり、十分に息が吸えていないように感じたりすることがあります。これが、息苦しさや呼吸困難感につながるのです。

軽い過呼吸状態

精神的な緊張による浅く速い呼吸が続くと、体内の二酸化炭素(CO2)濃度が低下します。これは、必要以上に多くのCO2を外に吐き出してしまうためです。血液中のCO2濃度は、呼吸をコントロールする重要なセンサーの役割を果たしています。CO2濃度が適切な範囲にあることで、私たちは自然な呼吸を保つことができます。

CO2濃度が低下しすぎると、体は「もっとCO2を取り込もう」として、逆に呼吸を抑制しようとします。この体の反応が、さらに息が吸えないような感覚や、呼吸が止まりそうな恐怖感を引き起こすことがあります。また、CO2濃度の低下は、血管を収縮させ、手足のしびれやピリピリ感、めまい、立ちくらみといった症状を引き起こすこともあります。

このような状態は「過換気症候群」と呼ばれることがありますが、パニック発作に伴う息苦しさも、本質的には軽い過呼吸状態やそれに近い体の反応が含まれていると考えられます。実際に大量に換気しているわけではなくても、呼吸のパターンが乱れることで、体に異常信号が送られ、息苦しさを感じやすくなるのです。

医師監修:息がしづらくなるメカニズム

パニック障害における息苦しさのメカニズムは、脳と身体の複雑な相互作用によって生じます。精神科医の立場から解説すると、主に以下の要素が関与しています。

  • 扁桃体の過活動: 脳の扁桃体(へんとうたい)は、恐怖や不安を感じる情動の中枢です。パニック障害の患者さんでは、この扁桃体が過剰に活動しやすいと考えられています。危険を察知していない状況でも、扁桃体が過剰に反応し、強い恐怖や不安の信号を発します。
  • 自律神経系の調節異常: 扁桃体からの信号は、自律神経系(特に交感神経)を強く活性化させます。これにより、心拍数増加、血圧上昇、発汗、筋肉の緊張など、身体が緊急事態に備える反応が起こります。呼吸においても、呼吸筋が緊張し、呼吸数が増加します。
  • 呼吸中枢への影響: 脳幹にある呼吸中枢は、血液中の酸素や二酸化炭素の濃度に応じて呼吸を調節しています。パニック障害の患者さんでは、不安や恐怖によって呼吸中枢の感受性が変化し、わずかな呼吸パターンの変化にも過敏に反応してしまう可能性があります。浅く速い呼吸が続くことで、前述のように血液中の二酸化炭素濃度が低下します。
  • 化学受容体の過敏性: 脳や血管にある化学受容体は、血液中の二酸化炭素濃度やpH(酸性度)を感知しています。パニック障害の患者さんの中には、これらの化学受容体が二酸化炭素濃度のわずかな低下に対しても過敏に反応し、呼吸困難感や窒息感を強く感じやすい体質を持つ方がいるという研究もあります。
  • 身体感覚への過集中: 不安が高まっている状態では、自分の体の感覚(心拍、呼吸など)に過剰に注意が向きやすくなります。わずかな呼吸の変化も「息苦しい」と捉えてしまい、それがさらなる不安を引き起こし、症状を悪化させるという悪循環が生じます。

これらの要素が複合的に作用することで、パニック発作時に突然の強い息苦しさや、予期不安に伴う持続的な呼吸のしづらさが生じると考えられます。これは、単なる気の持ちようではなく、脳と身体の生理的なメカニズムに基づいた症状であり、適切な治療によって改善が期待できるものです。

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息苦しさ以外のパニック障害の症状

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パニック障害の診断には、息苦しさ以外にもいくつかの特徴的な症状が伴うことが一般的です。アメリカ精神医学会による診断基準であるDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)では、パニック発作の際に以下の13症状のうち4つ以上が現れることが診断の一つの要件とされています。

身体的な症状

パニック発作は、非常に多様な身体症状を伴います。これらは、体の「闘争か逃走か」反応が過剰に活性化することで生じます。

  • 動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
  • 発汗
  • 身震いまたはふるえ
  • 息切れ感または息苦しさ
  • 窒息感
  • 胸痛または胸部の不快感
  • 吐き気または腹部の不快感
  • めまい、ふらつき、頭が軽くなる感じ、または今にも倒れそうな感じ
  • 寒気または熱感
  • 手足のしびれまたはぴりぴり感

これらの身体症状は、実際に体に病気があるかのような強い苦痛を伴いますが、多くの場合、検査をしても身体的な異常は見つかりません。

精神的な症状

パニック発作は、身体症状だけでなく、非常に強い精神的な苦痛や認知の変化を伴います。

  • 現実感の喪失(現実でない感じ)または離人感(自分自身から離れている感じ)
  • コントロールを失うこと、または「気が狂う」ことに対する恐れ
  • 死ぬことに対する恐れ

これらの精神的な症状は、発作時の体験を非常に恐ろしいものにし、その後の予期不安や回避行動につながる大きな要因となります。パニック障害の診断では、これらの身体的・精神的な症状が突然出現し、強い恐怖や不快感を伴う発作が繰り返されることが確認されます。

息苦しさを感じた時の具体的な対処法

恐怖中国のビジネスウーマンの手を覆うくわえる白背景 - パニック 日本人 ストックフォトと画像

パニック障害による息苦しさやパニック発作が起こったとき、どのように対処すればよいかを知っていることは、不安を和らげ、症状をコントロールする上で非常に役立ちます。対処法には、発作が起きている最中に行うものと、普段から取り組むものがあります。

発作中の対処法

パニック発作が起きてしまった直後、あるいは息苦しさが強くなってきたと感じたときに試せる、具体的な対処法です。完全に症状を消し去ることは難しいかもしれませんが、発作のピークを乗り越え、苦痛を軽減するのに役立ちます。

呼吸を整える(吐くことを意識)

パニック発作時の息苦しさは、浅く速い呼吸や軽い過呼吸状態が関わっていることが多いため、呼吸をコントロールすることが有効です。ポイントは、「吸う」ことよりも「吐く」ことを意識することです。

  • ゆっくりと、長く息を吐き出す
  • お腹を意識した呼吸(腹式呼吸)
  • カウントを利用する
  • 紙袋呼吸は非推奨

意識を分散させる

強い息苦しさや恐怖に囚われている状態では、その感覚に意識を集中させすぎると、さらに不安が増してしまいます。意識を意図的に別のものへ向けることで、症状から注意をそらすことができます。

  • 五感を使ったテクニック(5-4-3-2-1テクニック)
  • 数を数える
  • 物に触れる
  • 特定の場所を見る

楽な姿勢をとる

  • 座っている場合は、背もたれにもたれるか、前かがみになる
  • 立っている場合は、壁などに寄りかかる
  • 可能であれば、横になるか、椅子に座る

換気を行う

  • 窓を開けて換気をする
  • 落ち着ける場所で新鮮な空気を吸う

頓服薬を活用する(医師の指示)

  • 医師から処方された薬の種類、用量、使用タイミングをしっかりと守る
  • 薬の効果や副作用について理解しておく
  • 頓服薬に頼りすぎない

普段からできる対策

パニック発作による息苦しさや予期不安を軽減するためには、発作時だけでなく、普段からのセルフケアや生活習慣の見直しも非常に重要です。

ストレス軽減

  • リラクゼーション法(筋弛緩法、瞑想など)
  • 趣味や楽しみの時間を設ける
  • 十分な休息をとる
  • 自分なりのコーピングスキルを見つける

生活習慣の見直し

  • 規則正しい生活リズム
  • バランスの取れた食事(カフェイン、アルコール、ニコチンに注意)
  • 適度な運動

息苦しさがパニック障害か判断するには?(診断)

女性を押す - パニック 日本人 ストックフォトと画像

息苦しさの症状がある場合、それがパニック障害によるものなのか、あるいは他の身体的な病気によるものなのかを正確に判断するためには、専門家による診断が不可欠です。自己判断は危険であり、適切な治療の機会を逃す可能性があります。

診断基準の概要

パニック障害の診断は、主に問診によって行われます。医師は、患者さんの症状について詳しく聞き取ります。具体的には、息苦しさがいつ、どのような状況で始まったのか、どのくらいの頻度で起こるのか、息苦しさ以外にどのような症状が同時に現れるのか、発作の持続時間、発作に対する恐怖やその後の影響などを確認します。

国際的な診断基準であるDSM-5では、パニック障害は以下の要素に基づいて診断されます。

  • 予期しないパニック発作の繰り返し
  • パニック発作が13症状のうち4つ(またはそれ以上)を伴うこと
  • 少なくとも1回のパニック発作の後に、以下のいずれか1つ(またはそれ以上)が1か月以上続いていること
    • 今後また発作が起こるのではないかという持続的な心配
    • 発作を避けるための行動の変化
  • 物質や他の医学的疾患によるものではないこと
  • 他の精神疾患ではよりうまく説明されないこと

自己判断の危険性

息苦しさの症状を自分で「これはきっとパニック障害だろう」と判断してしまうのは危険です。なぜなら、息苦しさはパニック障害だけでなく、心臓病、呼吸器疾患、貧血、甲状腺の病気など、様々な身体的な病気によっても引き起こされる可能性があるからです。

もし、息苦しさが身体的な病気によるものだった場合、パニック障害だと自己判断して精神的なケアだけを行っていても、根本原因である病気の治療が遅れてしまうことになります。身体的な病気の中には、早期発見と早期治療が非常に重要で、放置すると命に関わるものもあります。

したがって、息苦しさを感じた場合は、まずは身体的な病気の可能性を調べるために、内科やかかりつけ医に相談することが強く推奨されます。そこで身体的な異常が見つからなかった場合に、精神的な要因(パニック障害や他の不安障害など)を疑い、精神科や心療内科を受診するというステップが一般的です。

自分の症状について正確な診断を受けるためには、必ず専門機関を受診しましょう。

他の病気との違い

息苦しさはパニック障害の代表的な症状の一つですが、前述の通り、他の様々な疾患でも起こり得ます。パニック障害による息苦しさの特徴を理解し、他の疾患との違いを知っておくことは、適切な医療機関を受診するための重要な手がかりとなります。しかし、最終的な鑑別診断は医師に委ねるべきです。

貧血・脳貧血との区別

貧血や脳貧血(起立性低血圧など)も、めまいや立ちくらみと共に息苦しさや動悸を感じることがあります。パニック発作と症状が似ているため、区別が必要です。貧血は血液検査で診断され、脳貧血は体位変化と関連することが多い点がパニック障害と異なります。

心臓病・呼吸器疾患との区別

息苦しさや胸痛は、心臓病や呼吸器疾患の代表的な症状でもあります。これらの疾患とパニック障害との区別は非常に重要であり、特に生命に関わる可能性のある疾患との鑑別は、医師による専門的な検査が必要です。心臓病は心電図などで、呼吸器疾患は肺機能検査などで診断されます。一般的に、身体的な検査で異常が見られるかどうかがパニック障害との大きな違いとなります。

息苦しさがパニック障害によるものなのか、あるいは他の疾患によるものなのかを見分けるためのポイントを比較表にまとめました。

特徴/疾患 パニック障害 貧血・脳貧血 心臓病(狭心症など) 呼吸器疾患(喘息など)
息苦しさの特徴 突然、強烈で、死の恐怖伴うことも。過呼吸傾向。 立ちくらみやめまいと同時に起こりやすい。 労作時や安静時に胸痛と共に起こることも。圧迫感。 呼吸音の異常(ゼーゼー)や咳を伴うことが多い。
主な随伴症状 動悸、発汗、ふるえ、めまい、吐き気、しびれなど めまい、立ちくらみ、倦怠感、顔色不良 胸痛、肩や腕への放散痛、冷や汗など 咳、痰、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難感
発症のきっかけ 特定の状況、または突発的 急な立ち上がり、疲労、体調不良、月経など 運動、寒冷、ストレス、食後など アレルゲン、運動、感染、気候変動など
診断アプローチ 精神科医による問診、症状の経過、診断基準 血液検査 心電図、心エコー、負荷心電図、カテーテル検査 肺機能検査、レントゲン、採血
治療法 薬物療法(SSRIなど)、精神療法(CBT) 鉄剤投与、生活習慣改善 薬物療法、カテーテル治療、手術 薬物療法(吸入薬、内服薬)、原因物質の回避

この表はあくまで一般的な違いを示すものであり、例外もあります。息苦しさがある場合は、必ず医療機関を受診し、専門医の診断を受けることが最も重要です。特に、胸痛を伴う息苦しさや、安静にしても改善しない強い息苦しさ、意識障害、顔色不良などを伴う場合は、救急性の高い病気の可能性もあるため、迷わず救急医療機関を受診してください。

パニック障害の治療法

a young japanese woman beautician (therapist) - クリニック ストックフォトと画像

パニック障害は、適切な治療を受けることで症状の軽減や寛解(症状がほとんどなくなること)が十分に期待できる病気です。治療の中心となるのは、薬物療法と精神療法(特に認知行動療法)です。多くの場合、これらを組み合わせて行われます。

薬物療法

薬物療法は、パニック発作や予期不安の症状を和らげるために行われます。主に以下のような種類の薬が用いられます。

  • 抗うつ薬(SSRIなど): パニック障害の中心的な治療薬。パニック発作の頻度・強度を減らし、予期不安や広場恐怖を改善する。効果発現に時間がかかるが、継続で安定した効果が得られる。
  • 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系など): 不安や緊張を一時的に和らげる頓服薬。即効性があるが、依存性や副作用に注意が必要。医師の指示厳守が重要。

薬の種類や用量は医師が慎重に判断します。自己判断での中止や調整は危険です。

精神療法

精神療法は、パニック障害を引き起こす考え方のパターンや行動を変えていく治療法です。薬物療法と並行することで高い効果が期待できます。代表的なものに認知行動療法(CBT)があります。

  • 認知行動療法(CBT):
    • パニック発作のメカニズムの理解
    • 誤った「認知」(考え方)への働きかけ
    • 身体感覚への曝露(安全な状況で身体感覚を経験し、危険ではないと学習)
    • 状況への曝露(避けていた場所や状況に安全な方法で身を置く練習)

認知行動療法は専門家と共に行います。時間はかかりますが、薬に頼らずに症状をコントロールし、再発予防にもつながる効果が期待できます。

息苦しさで悩む場合は専門機関へ相談

患者に症状を説明する男性医師の手 - クリニック ストックフォトと画像

息苦しさは、パニック障害の可能性を示す重要なサインの一つですが、同時に他の様々な身体的な病気のサインである可能性も秘めています。もしあなたが繰り返し息苦しさを感じていたり、それに強い不安や恐怖を伴っていたりする場合は、一人で悩まず、必ず専門機関に相談してください。

最初にかかりやすいのは、かかりつけ医や内科医です。まずは身体的な病気の可能性を除外するために、必要な検査を受けることをお勧めします。もし、身体的な検査で異常が見つからず、症状が精神的な要因によるものと疑われる場合は、医師から精神科や心療内科への受診を勧められるでしょう。

精神科や心療内科では、あなたの症状を詳しく聞き取り、パニック障害や他の不安障害など、精神的な側面からの診断を行います。正確な診断を受けることで、あなたに合った適切な治療法(薬物療法や精神療法など)を開始することができます。

パニック障害は、決して特別な病気ではありません。誰にでも起こりうる心の不調の一つであり、適切な治療を受ければ多くの人が回復し、以前のような生活を取り戻すことが可能です。早期に相談することで、症状が軽いうちに回復を目指すことができ、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。

不安や恐怖のために受診をためらってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、専門家はあなたの苦痛を理解し、サポートするために存在しています。安心して、勇気を出して一歩を踏み出してください。まずは電話で相談してみる、予約を取ってみる、といった小さなステップから始めてみるのも良いでしょう。あなたの息苦しさが解消され、穏やかな日々を取り戻せるよう、専門家がサポートしてくれます。


免責事項

この記事は、パニック障害による息苦しさに関する一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や状況については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。記事の内容は、医学的な診断や治療を代替するものではありません。また、医学情報は日々変化するため、最新の情報を保証するものではありません。この記事によって生じたいかなる損害についても、一切の責任を負いかねます。

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