子宮の器質性出血とは?原因の病気と機能性出血との見分け方を解説

月経でもないのに出血があったり、いつもと違う性状の出血が続いたりすると、「もしかしたら病気なのではないか」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。
このような月経以外の出血を「不正出血」と呼びます。不正出血には様々な原因がありますが、大きく分けて「器質性出血」と「機能性出血」の二種類があります。
中でも、器質性出血は子宮や腟、卵巣などの病気が原因で起こるため、注意が必要です。
この記事では、器質性出血とは何か、機能性出血との違い、主な原因となる病気、診断方法、そして対処法について分かりやすく解説します。不正出血でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

不正出血を理解する上で重要なのが、「器質性出血」と「機能性出血」の区分です。どちらも月経周期とは無関係に起こる出血ですが、その原因が根本的に異なります。

異常出血の種類:器質性出血と機能性出血

不正出血は、原因に基づいて主に以下の二つに分類されます。

  • 器質性出血(きしつせいしゅっけつ):子宮や腟、卵巣などの「器質」、つまり臓器そのものに病変(病気による変化)があるために起こる出血です。具体的な病気としては、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮頸がん、子宮体がん、子宮内膜増殖症、腟炎などが挙げられます。これらの病変から直接出血したり、病変がホルモンバランスに影響を与えて出血を引き起こしたりします。多くの場合、原因となる病気を特定し、治療を行うことが必要です。
  • 機能性出血(きのうせいしゅっけつ):子宮や腟などに明らかな病変がないにも関わらず起こる出血です。主な原因は、ホルモンバランスの乱れです。思春期や更年期、ストレス、過度なダイエット、不規則な生活などによって、卵巣からのホルモン分泌が不安定になり、子宮内膜の剥がれ方が不規則になることで出血します。病気によるものではないため、ホルモン療法などで改善を目指す場合が多いですが、経過観察で自然に治まることもあります。

器質性出血は、重大な病気が隠れている可能性があるため、特に注意が必要です。不正出血があった際には、自己判断せずに医療機関を受診し、原因を特定することが大切です。

月経との違い:不正出血の見分け方

月経は女性にとって正常な生理現象ですが、不正出血は月経とは異なります。「月経ではない時期」に起こる出血が不正出血ですが、中には月経と間違えやすいケースもあります。不正出血かどうかを見分けるポイントはいくつかあります。

正常な月経は、通常25日から38日の周期で起こり、出血期間は3日から7日間程度、出血量は比較的規則的です。出血の色や性状も個人差はありますが、月経周期の中で大きく変動することは少ないです。

一方、不正出血は以下のような特徴を持つことがあります。

  • 時期: 月経予定日ではない時期に出血する。排卵期出血(中間期出血)など、生理的な出血もありますが、それ以外の時期の出血は不正出血と考えられます。
  • 量: 少量のおりものに血が混じる程度から、月経のように量が多い場合まで様々です。出血量が急に増えたり、生理とは比べ物にならないほど少量だったりする場合も不正出血の可能性があります。
  • 期間: 数時間で治まるものから、数週間、あるいは1ヶ月以上続く場合もあります。
  • 色: 鮮やかな赤色、茶色、黒っぽい色など、月経とは異なる色の出血が見られることがあります。特に茶色や黒っぽい出血は、古い血液がゆっくりと排出されているサインかもしれません。
  • 性状: サラサラしている、粘り気がある、塊が混じるなど、月経とは異なる性状の場合があります。
  • 随伴症状: 出血に加えて、下腹部痛、腰痛、性交時の痛み、発熱、おりものの異常などを伴う場合は、病気が隠れている可能性が高まります。

「いつもの月経と違う」「月経が終わったはずなのにまた出血がある」「生理予定日ではないのに出血した」といった場合は、不正出血である可能性が高いでしょう。特に、閉経後に出血があった場合は、必ず医療機関を受診してください。

月経と不正出血の区別が難しい場合でも、不安を感じたら迷わず医師に相談することが重要です。

器質性出血の主な原因

器質性出血は、女性生殖器の様々な病気によって引き起こされます。ここでは、不正出血の原因として比較的頻度が高い器質性病変について解説します。

子宮の器質性病変

不正出血の原因となる病気の中で最も多いのが、子宮に関連する病変です。

  • 子宮筋腫(しきゅうきんしゅ):子宮の筋肉の壁にできる良性の腫瘍です。多くの女性に見られ、閉経後に小さくなる傾向があります。筋腫ができる場所や大きさによって症状は異なりますが、不正出血(特に過多月経や月経期間以外の出血)や月経痛、貧血、頻尿、便秘などを引き起こすことがあります。筋腫自体からの出血というよりは、筋腫があることで子宮内膜の血流や剥がれ方が変化したり、子宮が収縮しにくくなったりすることで出血量が増えたり長引いたりすることが多いです。
  • 子宮内膜ポリープ(しきゅうないまくポリープ):子宮の内側にある子宮内膜の細胞が異常に増殖してできる良性の腫瘍です。数ミリ程度の小さなものから数センチになるものまであり、単発または複数できることがあります。不正出血、特に月経と月経の間の出血(中間期出血)や性交後の出血、過多月経の原因となることがあります。ポリープの表面が傷ついたり炎症を起こしたりすることで出血しやすくなります。
  • 子宮内膜増殖症(しきゅうないまくぞうしょくしょう):子宮内膜が必要以上に厚くなってしまう状態です。ホルモンバランスの乱れ、特にエストロゲン(卵胞ホルモン)が過剰でプロゲステロン(黄体ホルモン)が不足している場合に起こりやすいです。不正出血や過多月経を引き起こします。中には、子宮体がんの前段階とされる「異型増殖症」もあるため、注意が必要です。
  • 子宮体がん(しきゅうたいがん):子宮の内側の子宮内膜から発生するがんです。特に閉経後の不正出血の主要な原因となりますが、閉経前でも起こります。初期症状として不正出血が最も多く見られます。進行すると下腹部痛やおりものの異常を伴うこともあります。早期発見が重要ながんの一つです。
  • 子宮肉腫(しきゅうにくしゅ):子宮の筋肉や結合組織から発生する悪性の腫瘍で、比較的稀ながんです。進行が速いことが多く、不正出血、下腹部のしこり、痛みなどを引き起こすことがあります。子宮筋腫と見分けがつきにくい場合もあります。

子宮頸の器質性病変

子宮の入り口部分である子宮頸部も、不正出血の原因となる病変ができやすい場所です。

  • 子宮頸管ポリープ(しきゅうけいかんポリープ):子宮頸部の粘膜が増殖してできる良性の腫瘍です。茎のようにぶら下がっていることが多く、数ミリから1センチ程度のものが一般的です。通常は無症状ですが、不正出血、特に性交後や力んだ後の出血の原因として非常に多いです。これは、ポリープが物理的な刺激を受けやすい場所にあるためです。
  • 子宮頸がん(しきゅうけいがん):子宮頸部に発生するがんです。初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多いですが、進行すると不正出血(特に性交時の出血)、おりものの異常、下腹部痛などを引き起こします。定期的な子宮頸がん検診で早期発見が可能です。不正出血をきっかけに発見されるケースも少なくありません。
  • 子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん):子宮頸部に炎症が起こっている状態です。細菌感染などによって引き起こされ、おりものの増加や異常な色・臭い、下腹部痛、そして不正出血を伴うことがあります。

膣や卵巣などその他の原因

子宮以外の女性生殖器や、それ以外の要因によって不正出血が引き起こされることもあります。

  • 腟の病変:
    • 腟炎(ちつえん):細菌や真菌(カンジダなど)の感染、萎縮などによって腟に炎症が起こると、おりものの異常やかゆみ、痛みに加えて、軽い出血(特に性交後)を伴うことがあります。
    • 萎縮性腟炎(いしゅくせいちつえん):閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)が低下することで、腟の粘膜が薄く乾燥し、炎症を起こしやすくなります。これにより、かゆみや痛みに加えて、出血しやすくなることがあります。
    • 腟壁の傷: 性交時やタンポンの使用時などに腟壁が傷つき、出血することがあります。
  • 卵巣の病変: 卵巣の病気自体が直接不正出血を引き起こすことは少ないですが、ホルモンを過剰に分泌するタイプの卵巣腫瘍(例えば、顆粒膜細胞腫など)がある場合、ホルモンバランスが乱れて不正出血が起こることがあります。
  • 妊娠に関連する出血: 妊娠初期の不正出血は、流産、切迫流産、異所性妊娠(子宮外妊娠)など、様々な原因が考えられます。これらも広義には「器質的」な状態の変化による出血と言えます。特に、異所性妊娠は緊急性が高いため、妊娠の可能性がある時期の不正出血と下腹部痛には注意が必要です。
  • その他の可能性: まれに、全身の病気(血液疾患など)や、特定の薬剤の副作用、甲状腺の病気などが不正出血の原因となることもあります。

これらの原因の中で、がんなどの悪性腫瘍が隠れている可能性もあるため、「たかが不正出血」と軽く考えずに、必ず医療機関で正確な診断を受けることが非常に重要です。

器質性出血の診断方法

不正出血の原因が器質性出血であるかどうか、そしてその原因が具体的に何かを特定するためには、様々な検査が必要です。通常、婦人科を受診すると、問診から始まり、内診、超音波検査などが段階的に行われます。

問診と内診の重要性

医療機関を受診したら、まずは医師による問診が行われます。問診は、不正出血の原因を探る上で非常に重要な情報源となります。医師は、以下のような点を詳しく尋ねます。

  • 出血の状況: いつから始まったか、出血の量(少量か多いか)、色(鮮血か茶色か)、性状(塊があるか)、頻度、出血が起こるタイミング(月経と月経の間か、性交後か、閉経後かなど)。
  • 随伴症状: 出血以外に痛み(下腹部痛、腰痛など)、発熱、おりものの異常(量、色、臭い)、腹部膨満感などの症状があるか。
  • 月経歴: 初経年齢、月経周期、月経期間、月経量、月経痛の有無など、普段の月経の状態。
  • 妊娠・出産歴: 妊娠の経験、出産回数、流産や人工妊娠中絶の経験など。
  • 性交渉の有無: 性交後に出血があるか。
  • 既往歴: これまでにかかった病気(婦人科疾患だけでなく、高血圧、糖尿病、血液疾患なども含む)、受けた手術、アレルギーの有無。
  • 服用中の薬: どんな薬を飲んでいるか(低用量ピル、ホルモン剤、抗凝固剤など)。
  • 生活習慣: ストレス、睡眠、食事、喫煙、飲酒など。

これらの情報は、出血の原因がおおよそどのあたりにあるのか、あるいは器質性か機能性かの見当をつけるのに役立ちます。問診の後、通常は内診が行われます。内診では、医師が腟や子宮頸部を目で見て、異常がないかを確認します。炎症、ただれ、ポリープ、できものなどがないか。また、内診台の上で腹部から、または腟から指を入れて子宮や卵巣の大きさ、硬さ、圧痛などを触診します。子宮頸がん検診も同時に行うのが一般的です。これらの内診から、不正出血の原因となりうる病変が視覚的・触覚的に評価されます。

超音波検査による評価

内診と並んで、不正出血の原因特定に非常に有用な検査が超音波検査です。婦人科では、主に経腟超音波検査が行われます。腟から細いプローブ(超音波を発信する器具)を挿入して、子宮と卵巣の状態を画像として詳細に観察します。

超音波検査では、以下のような器質性病変の有無や状態を確認できます。

  • 子宮:
    • 子宮の大きさや形に異常がないか。
    • 子宮筋腫の有無、大きさ、できる場所(子宮の外側、壁の中、内側)。
    • 子宮内膜の厚さや性状。子宮内膜ポリープや子宮内膜増殖症の可能性。
    • 子宮腺筋症の有無(子宮の壁が厚くなったり、内部に影が見られたりする)。
  • 卵巣:
    • 卵巣の大きさ。
    • 卵巣嚢腫や卵巣腫瘍の有無、大きさ、性状(良性か悪性かの推定)。

超音波検査は痛みが少なく、短時間で多くの情報が得られるため、不正出血の初期検査として非常に重要です。多くの器質性病変を発見する手がかりとなります。

組織検査(生検)について

超音波検査などで子宮内膜や子宮頸部に異常が疑われる場合、がんや子宮内膜増殖症などの確定診断のために、組織の一部を採取して詳しく調べる組織検査(生検)が必要になることがあります。

  • 子宮内膜生検: 子宮内膜の組織を少量採取する検査です。不正出血がある場合や、超音波検査で子宮内膜が異常に厚い場合などに、子宮体がんや子宮内膜増殖症の診断のために行われます。細いチューブを子宮内に挿入して内膜を吸引したり、キュレットという器具で掻き取ったりして組織を採取します。軽い痛みを伴うことがありますが、通常は麻酔なしで行われます。採取した組織は病理医によって顕微鏡で詳しく調べられます。
  • 子宮頸部生検: 子宮頸部にできものやただれが見られたり、子宮頸がん検診の結果が異常だったりする場合に、異常があると思われる部分の組織を小さく切り取って調べる検査です。子宮頸がんや前がん病変(異形成)の診断のために行われます。麻酔なしで行われることが多く、チクッとした軽い痛みや出血を伴うことがあります。

組織検査の結果によって、病気の確定診断がつき、適切な治療法が決定されます。

その他の検査方法

上記の基本的な検査以外にも、必要に応じて以下のような検査が行われることがあります。

  • ホルモン検査: 血液検査で女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロンなど)や、FSH、LHといった脳から分泌されるホルモンの値を調べます。機能性出血の診断や、ホルモンバランスの乱れが器質性病変に関与しているかどうかを評価するために行われます。
  • 血液検査: 貧血の有無や程度、炎症反応(CRPなど)、腫瘍マーカーなどを調べます。長期間の不正出血による貧血の評価や、特定の病気の診断の補助となります。
  • MRI検査: 超音波検査では評価が難しい大きな子宮筋腫や子宮腺筋症、あるいは卵巣腫瘍の詳しい性状や、がんの広がりなどを調べるために行われることがあります。より精密な画像情報が得られます。
  • 子宮鏡検査: 子宮の中に細いカメラ(子宮鏡)を挿入して、子宮腔内の状態を直接目で確認する検査です。子宮内膜ポリープ、子宮筋腫(粘膜下筋腫)、子宮内膜増殖症、子宮内癒着などを詳細に観察し、診断や治療(ポリープ切除など)を同時に行うこともあります。
  • 感染症の検査: 腟炎や子宮頸管炎が疑われる場合、おりものを採取して細菌やクラミジア、淋菌などの病原体を調べる検査が行われることがあります。
  • 妊娠反応検査: 妊娠の可能性がある場合は、不正出血の原因が妊娠に関連するものであるかを確認するために、尿や血液で妊娠反応を調べます。

これらの様々な検査を組み合わせることで、不正出血の原因が器質性であるか、そして具体的にどのような病気が原因となっているのかを総合的に診断していきます。

器質性出血が疑われる場合の対処法

不正出血があり、器質性出血の可能性が考えられる場合、最も重要なことは「自己判断せずに医療機関を受診すること」です。早期に正確な診断を受け、適切な治療を開始することが、病気の進行を防ぎ、症状を改善するために不可欠です。

早期受診が必要なケース

不正出血があったら、症状の程度に関わらず一度は婦人科を受診することが推奨されますが、特に以下のようなケースでは、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。

  • 出血量が多い、あるいは月経期間よりも長く続く場合: 多量の出血や長期間続く出血は、貧血を引き起こす可能性があります。
  • 出血に加えて強い痛み(下腹部痛、腰痛など)がある場合: 炎症や他の重い病気が隠れている可能性があります。
  • 閉経後に出血があった場合: 閉経後の不正出血は、子宮体がんや萎縮性腟炎など、何らかの病気が原因である可能性が非常に高く、特にがんの発見につながる重要なサインとなるため、必ず受診が必要です。
  • 性交後に出血がある場合: 子宮頸管ポリープや子宮頸がん、子宮頸管炎などが原因として考えられます。
  • 不正出血が繰り返し起こる場合: 一時的なものではなく、慢性的に不正出血がある場合は、何らかの病気が原因となっている可能性が高いです。
  • おりものの異常(量、色、臭い)や発熱を伴う場合: 感染症や炎症が疑われます。
  • 市販薬を服用しても改善しない、あるいは悪化する場合: 自己判断で対処せず、専門医の診断を受けてください。
  • 妊娠の可能性がある時期に出血と腹痛がある場合: 異所性妊娠など、緊急性の高い状態である可能性があります。

これらの症状に当てはまる場合は、ためらわずに早めに婦人科を受診してください。早期発見・早期治療が、心身への負担を減らすことにつながります。

医療機関での治療の選択肢

器質性出血の治療法は、その原因となっている病気によって大きく異なります。診断の結果に基づいて、医師から最も適切な治療法が提案されます。主な治療の選択肢は以下の通りです。

  • 薬物療法:
    • ホルモン療法: ホルモンバランスの乱れが不正出血に関与している場合や、子宮内膜増殖症、子宮腺筋症、子宮筋腫などに対して、ホルモン剤(低用量ピル、黄体ホルモン剤、GnRHアゴニストなど)を用いて出血をコントロールしたり、病変を小さくしたりする治療が行われることがあります。
    • 止血剤・鎮痛剤: 出血量が多い場合や痛みを伴う場合に、症状を和らげるために処方されることがあります。
    • 抗菌薬: 腟炎や子宮頸管炎など、感染症が原因の場合に、原因菌に対する抗菌薬が用いられます。
  • 手術療法:
    • 子宮内膜ポリープや子宮頸管ポリープの切除: 不正出血の原因となっているポリープは、外来や日帰り手術で比較的簡単に切除できる場合が多いです。
    • 子宮筋腫の治療: 症状が強い場合や筋腫が大きい場合、妊娠を希望する場合などに応じて、筋腫のみを摘出する手術(筋腫核出術)や、子宮を摘出する手術(子宮全摘術)が検討されます。子宮鏡を使った筋腫切除や、腹腔鏡手術、ロボット支援手術など、患者さんの状態や希望に合わせた様々な術式があります。
    • 子宮内膜増殖症の治療: 異型がない単純性・複雑性増殖症の場合、ホルモン療法や経過観察が行われますが、異型増殖症や症状が改善しない場合は、子宮内膜掻爬術(子宮内膜を掻き取る)や子宮摘出術が検討されることがあります。
    • 子宮体がん・子宮頸がんの治療: がんの種類、進行度、患者さんの全身状態などに応じて、手術(子宮摘出、リンパ節郭清など)、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)、免疫チェックポイント阻害剤など、様々な治療法が組み合わせて行われます。
  • その他:
    • 経過観察: 病変が小さく症状が軽い場合や、良性であることが明らかな場合は、定期的な検査を行いながら経過観察となることもあります。
    • 子宮内避妊システム(IUS): ホルモン剤が子宮内に持続的に放出されるIUSは、子宮内膜を薄く保つ作用があるため、過多月経や月経困難症、子宮内膜増殖症の治療や予防に用いられることがあります。
原因疾患 主な治療法例
子宮筋腫 経過観察、薬物療法(ホルモン剤、止血剤など)、手術(筋腫核出術、子宮全摘術など)、子宮動脈塞栓術など
子宮内膜ポリープ ポリープ切除術(子宮鏡下手術など)
子宮内膜増殖症 ホルモン療法、子宮内膜掻爬術、子宮摘出術(異型増殖症の場合など)
子宮体がん 手術(子宮、卵巣・卵管、リンパ節の摘出など)、放射線療法、化学療法、ホルモン療法
子宮頸管ポリープ ポリープ切除術
子宮頸がん 手術(円錐切除術、子宮全摘術など)、放射線療法、化学療法、免疫チェックポイント阻害剤
腟炎・子宮頸管炎 抗菌薬・抗真菌薬の内服や腟剤
萎縮性腟炎 腟へのエストロゲン(女性ホルモン)補充療法(腟剤、クリームなど)
妊娠に関連する出血 安静、止血剤、流産手術、異所性妊娠の手術など(原因による)

どの治療法を選択するかは、不正出血の原因、病気の種類や進行度、症状の程度、患者さんの年齢、妊娠の希望の有無、全身状態などを総合的に考慮して決定されます。医師とよく相談し、納得した上で治療に進むことが大切です。

【まとめ】器質性出血かな?と思ったら迷わず受診を

不正出血は、多くの女性が経験する症状ですが、その原因は様々です。特に「器質性出血」は、子宮筋腫や子宮内膜ポリープといった良性の病気だけでなく、子宮体がんや子宮頸がんといった悪性の病気が隠れている可能性もあります。

「月経ではない時期の出血」「いつもの月経と違う出血」に気づいたら、自己判断せず、必ずお近くの婦人科を受診しましょう。問診や内診、超音波検査などの簡単な検査で、不正出血の原因がおおよそ判明することが多いです。もし詳しい検査が必要な場合でも、早期に発見できれば、適切な治療につながり、病気の進行を防ぐことができます。

特に、閉経後の出血はがんのサインである可能性が高いため、絶対に放置せず、すぐに医療機関を受診してください。

不正出血は体のサインです。そのサインを見逃さず、専門医に相談することが、ご自身の健康を守るために最も大切な行動です。不安な気持ちを一人で抱え込まず、まずは医療機関のドアを叩いてみましょう。


免責事項:
この記事は、器質性出血に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、医学的な診断や治療を推奨または保証するものではありません。個々の症状については、必ず医師の診察を受け、適切なアドバイスと治療を受けてください。この記事の情報によって生じた損害について、筆者および当サイトは一切の責任を負いません。

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