生理の量や期間がいつもと違う、と感じたことはありませんか?
もしかしたら、それは「過少月経」かもしれません。
生理の変化は、女性の体の状態を知る大切なサインです。
一人で不安を抱え込まず、まずは過少月経について正しく理解しましょう。
この記事では、過少月経の定義や原因、年代別の特徴、関連する過短月経との違い、放置するリスク、そして改善策や病院を受診する目安について詳しく解説します。
この記事を読めば、あなたの不安が少しでも解消され、適切な行動をとるための第一歩を踏み出せるはずです。
過少月経とは?基準と特徴
過少月経とは、その名の通り「生理の量が少ない状態」を指します。
医学的には、生理の周期や期間が正常であっても、出血量が著しく少ない場合を言います。
では、具体的にどのくらいの量が生理として適切で、どのくらいからが「過少」とされるのでしょうか。
過少月経の定義と目安量
生理は通常、約25日から38日の周期で訪れ、期間は約3日から7日間、出血量は約20mlから140ml程度とされています。
これに対して、過少月経は出血量が20ml以下と定義されています。
ただし、正確な出血量を自分で測ることは難しいため、日常生活の中での目安を知っておくことが重要です。
一般的に、過少月経の場合、経血量が非常に少なく、ナプキンを交換する回数が極端に少なくて済む、またはおりものシートで足りてしまうような状態が数日間続く、といった特徴が見られます。
例えば、生理期間中に夜用ナプキンを一度も使用しなかったり、日中でも軽い日用ナプキンで十分だったり、といった場合が目安となるでしょう。
また、経血の色が薄かったり、ドロっとした塊がほとんど見られなかったりすることもあります。
過少月経と間違いやすいケース
生理だと思っていたら、実際は生理ではなかったというケースも少なくありません。
過少月経と間違いやすいのは、主に以下の出血です。
- 不正出血: 生理期間中ではないのに出血が見られる状態です。
排卵期出血や、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、病気などが原因で起こることがあります。
過少月経のように少量で短期間で終わることがありますが、生理周期とは関係なく起こるのが特徴です。 - 着床出血: 妊娠初期に受精卵が子宮内膜に着床する際に起こる少量の出血です。
生理予定日頃に見られることがあり、量が非常に少なく、すぐに終わるため、軽い生理や過少月経と間違われることがあります。 - その他: 性行為による出血、病気(子宮頸管ポリープなど)による出血など、生理以外の原因による少量の出血は、過少月経とは区別が必要です。
これらの出血は、生理周期や他の症状(腹痛、腰痛、熱など)を伴うかどうか、色が鮮血か茶色か、といった点で見分ける手がかりになりますが、自己判断は難しいため、気になる場合は医療機関に相談することが大切です。
生理の血が薄いピンク・水っぽい場合
生理の血の色がいつもより薄いピンク色や、水っぽい状態である場合も、過少月経の一種として考えられます。
これは、経血の絶対量が少ないために、子宮内膜や血液以外の成分(子宮頸管からの分泌物など)と混ざる割合が多くなり、色が薄くなったり水っぽく感じられたりすることが原因の一つです。
経血の色や状態が変化する原因としては、ホルモンバランスの軽微な乱れや、子宮内膜が十分に厚くならなかったことなどが考えられます。
特に、生理の始まりや終わりかけに見られる場合は、生理の一環として問題ないことが多いですが、生理期間中ずっと量が少なく、色が薄い状態が続く場合は、過少月経の可能性を考え、その原因を探る必要があります。
過少月経の主な原因
過少月経は、様々な要因によって引き起こされます。
多くの場合、女性ホルモンの分泌バランスの乱れが関わっていますが、それ以外にも、子宮や卵巣の状態、全身の健康状態などが影響することがあります。
ホルモンバランスの乱れによる影響
生理は、脳の視床下部、下垂体、そして卵巣が連携して分泌する女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)によってコントロールされています。
このデリケートなホルモンバランスが乱れると、子宮内膜が十分に厚くならず、剥がれ落ちる経血の量が少なくなってしまいます。
- エストロゲンの分泌低下: 子宮内膜を厚くする働きを持つエストロゲンの分泌が低下すると、内膜が薄くなり、経血量が減少します。
これはストレス、過度なダイエット、加齢など様々な要因で起こり得ます。 - プロゲステロンの分泌低下: 排卵後に分泌され、子宮内膜を維持するプロゲステロンの分泌が低下すると、生理前に内膜が不安定になり、経血量が少なくなることがあります。
- 視床下部・下垂体の機能異常: 脳の視床下部や下垂体から分泌されるホルモンは、卵巣からのホルモン分泌を調節しています。
これらの部位の機能が低下すると、卵巣からの女性ホルモン分泌も減少し、結果として過少月経を引き起こすことがあります。
ストレス、生活習慣、ダイエット
現代社会において、ストレスや不規則な生活習慣、無理なダイエットはホルモンバランスを乱す大きな要因となります。
- ストレス: 精神的なストレスは、脳の視床下部に影響を与え、生理周期をコントロールするホルモンの分泌を妨げることがあります。
これにより、排卵が遅れたり、子宮内膜が十分に育たなかったりして、過少月経につながることがあります。 - 過度なダイエット・体重減少: 急激な体重減少や極端な食事制限は、体が飢餓状態と認識し、生殖機能を後回しにしてしまいます。
これにより、女性ホルモンの分泌が低下し、生理が止まる無月経や、生理の量が極端に少なくなる過少月経を引き起こします。 - 不規則な生活・睡眠不足: 睡眠不足や夜更かしは体内時計を狂わせ、ホルモンバランスに悪影響を与える可能性があります。
- 過度な運動: マラソン選手や体操選手など、体脂肪率が極端に低いアスリートにも過少月経や無月経が見られることがあります。
これは、エネルギー不足と過度な身体的ストレスがホルモンバランスを乱すためです。
子宮や卵巣の病気・機能障害
過少月経は、子宮や卵巣自体に問題があるサインである可能性もあります。
- 子宮内膜が薄い: 子宮内膜が何らかの原因で十分に厚くならないと、剥がれ落ちる量が少なくなり、過少月経となります。
これはホルモンバランスの問題だけでなく、過去の子宮手術(例えば、流産手術後の子宮内膜癒着など)が原因で起こることもあります。 - 卵巣機能不全: 卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌が不十分になる状態です。
これにより排卵がうまくいかなくなり、過少月経や無月経を引き起こします。
早期閉経(40歳未満での閉経)の兆候として現れることもあります。 - 多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS): 排卵が起こりにくくなる病気で、生理不順(周期が長い、無月経)が特徴的ですが、一部の人では過少月経として現れることもあります。
ホルモンバランスの異常が原因です。 - 子宮の発育不全: 生まれつき子宮が小さい、または子宮内膜が正常に機能しない場合なども、経血量が少なくなる原因となります。
甲状腺ホルモンの分泌異常
女性ホルモンだけでなく、体の代謝をコントロールする甲状腺ホルモンも生理に大きく関わっています。
- 甲状腺機能低下症: 甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、体の代謝が遅くなり、生理周期が長くなったり、過少月経になったりすることがあります。
- 甲状腺機能亢進症: 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態では、逆に生理周期が短くなったり、経血量が少なくなることがあります。
甲状腺疾患は、疲労感、体重の変化、体温調節の異常など、他の症状を伴うことが多いですが、生理の変化が最初に気づくサインとなることもあります。
その他の身体的な原因
上記以外にも、いくつかの全身的な要因が過少月経に関わることがあります。
- 特定の薬の服用: 低用量ピルや特定の精神安定剤など、ホルモンに作用する薬や、その他の薬が生理の量に影響を与えることがあります。
低用量ピルは意図的に子宮内膜を薄くして出血量を減らすため、過少月経はむしろ正常な反応です。 - 慢性疾患: 糖尿病や腎臓病など、体の慢性的な病気もホルモンバランスや全身状態に影響を与え、生理の変化につながることがあります。
- 急激な体重増加: 過度なダイエットと同様に、急激な体重増加もホルモンバランスを崩す原因となることがあります。
加齢による変化
40代以降になり、閉経が近づいてくると、卵巣の機能が自然に低下し始めます。
これにより女性ホルモンの分泌量が変動し、生理周期が乱れたり、経血量が減ったりすることがあります。
これは「プレ更年期」や「更年期」に伴う自然な変化の一つであり、必ずしも病気というわけではありません。
しかし、他の原因が隠れている可能性もあるため、急激な変化や他の不調を伴う場合は医師に相談することが望ましいです。
急に過少月経になった場合の原因(年代別)
これまで正常だった生理の量が急に減った場合、それは体が何らかの変化を知らせているサインかもしれません。
年代によって、その背景にある原因は異なります。
20代で生理の量が急に減った
20代は、学業や仕事、人間関係など、ライフスタイルが大きく変化しやすい時期です。
- ストレス: 新しい環境への適応や将来への不安など、精神的なストレスが生理に最も影響しやすい年代です。
脳の視床下部がストレスに敏感に反応し、ホルモンバランスが崩れることがあります。 - ダイエット: 若い世代に多く見られる無理なダイエットや偏った食生活は、必要な栄養が不足し、女性ホルモンの材料が足りなくなったり、体重減少が急激すぎたりすることで生理が不安定になります。
- 生活習慣の乱れ: 不規則な睡眠、過度な夜更かし、喫煙などもホルモンバランスに悪影響を与えます。
- 稀なケース: 稀に、20代でも早期卵巣機能不全の兆候として過少月経が現れることがあります。
家族歴がある場合などは注意が必要です。
20代での急激な変化は、比較的ライフスタイルの影響が大きいと考えられますが、放置せず原因を特定することが重要です。
30代で生理の量が急に減った
30代は、仕事での責任が増したり、結婚・出産・育児などライフイベントが多くなったりと、心身への負担が増えやすい年代です。
- ストレス・疲労: 仕事や育児による慢性的なストレスや疲労が蓄積し、ホルモンバランスを乱すことがあります。
- 婦人科系疾患のリスク増加: 30代後半から子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科系疾患が見つかることが増えてきます。
これらの病気自体が過少月経の直接の原因となることは少ないですが、ホルモンバランスの乱れや、過去の治療(子宮手術など)が影響している可能性はあります。 - 妊活との関連: 妊活を意識する中で、生理の量や状態への関心が高まり、過少月経に気づくケースもあります。
排卵障害などが原因の場合、不妊につながる可能性も考慮し、早めに検査を受けることが推奨されます。 - 加齢による変化の始まり: 個人差はありますが、30代後半から卵巣機能が緩やかに低下し始めることもあります。
40代で生理の量が急に減った
40代になると、閉経に向けて体の準備が始まる「プレ更年期」に入ります。
- プレ更年期によるホルモン変動: 卵巣機能が低下し始め、女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌量が大きく変動します。
これにより、生理周期が短くなったり長くなったり、出血量が減ったり増えたりと、生理が不安定になるのが典型的な変化です。
過少月経もこの時期によく見られる症状の一つです。 - 婦人科系疾患: 40代は引き続き子宮筋腫や子宮内膜症などのリスクがあります。
これらの病気が直接過少月経を引き起こすわけではありませんが、生理の変化の背景に病気が隠れていないか確認することが重要です。 - 更年期症状との合併: ほてり、のぼせ、発汗、イライラ、不眠などの更年期症状を伴って過少月経が見られる場合、プレ更年期や更年期が原因である可能性が高いと考えられます。
40代での生理量の減少は自然な変化であることも多いですが、極端な減少や他の気になる症状がある場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。
生理が始まったと思ったら血が出ない
生理予定日頃に出血があったものの、量が非常に少なく、すぐに止まってしまった、という経験はありませんか?
これは、必ずしも「始まったのに血が出ない過少月経」とは限りません。
- 不正出血: 生理期間ではないのに起こった出血の可能性があります。
ホルモンバランスの乱れ、排卵期出血、性行為による出血、病気などが原因として考えられます。 - 着床出血: 妊娠の初期兆候である可能性があります。
生理予定日頃に起こり、少量の出血が1〜2日で終わることが多いです。
妊娠の可能性がある場合は、市販の妊娠検査薬で確認してみましょう。 - ホルモンバランスの軽微な乱れ: ストレスや一時的な体調不良などで、ごく軽く子宮内膜が剥がれただけ、という可能性もあります。
このような出血が一度だけで、その後正常な生理が来るようであれば、一時的なものとして様子を見ても良い場合があります。
しかし、頻繁に起こる場合や、出血量が少ない状態が続く場合は、医療機関を受診して原因を調べることが重要です。
過短月経とは?過少月経との違い
過少月経と似た言葉に「過短月経」があります。
これらは混同されやすいですが、それぞれ定義が異なります。
過短月経の定義と特徴
過短月経とは、生理の期間が短い状態を指します。
医学的には、生理期間が2日以内で終わる場合が過短月経と定義されています。
過少月経が「出血量が少ない」ことに着目しているのに対し、過短月経は「出血が続く期間が短い」ことに着目しています。
ただし、実際には出血量が少ないために早く終わる、つまり過少月経と過短月経は同時に起こることがよくあります。
生理の量が非常に少なく、1日や2日で終わってしまう場合は、「過少月経かつ過短月経」である可能性が高いと言えます。
出血が2日以内で終わる過短月経
生理が始まってから2日以内に終わってしまう場合、過短月経に該当します。
この場合、出血量も少ない「過少月経」を伴っていることがほとんどです。
原因としては、過少月経の原因で挙げたようなホルモンバランスの乱れや、子宮内膜が十分に育たないことなどが考えられます。
特に、これまで生理が通常通り5~7日続いていたのに、急に2日以内で終わるようになった場合は、体の変化のサインとして注意が必要です。
量は多いが生理が短い場合
稀に、出血量は比較的多いのに、生理期間が短い(例えば、通常の生理量だが3日で終わるなど)というケースがあります。
この場合、医学的な「過短月経」の定義(2日以内)には当てはまらないことが多いですが、「生理が短い」と感じる場合は、周期全体のリズムやホルモンバランスに何らかの変化がある可能性もゼロではありません。
ただし、多くの場合は個人の体質的なものであったり、一時的なホルモン変動によるものであったりします。
量が多すぎる(過多月経)にも関わらず短い期間で終わる場合は、子宮筋腫などが原因で子宮内膜が剥がれるスピードが速い、といった可能性も考えられますが、これは過短月経というよりは過多月経として扱われます。
過少月経と過短月経の主な違いを以下にまとめます。
特徴 | 過少月経 | 過短月経 |
---|---|---|
定義 | 生理の出血量が少ない | 生理の期間が短い |
目安 | 出血量 20ml 以下 | 生理期間 2日 以内 |
関連 | 量が少ない結果、期間も短くなることが多い。両方当てはまることも。 | 期間が短い場合、多くは量も少ない。 |
過少月経・過短月経を放置するリスク
過少月経や過短月経は、単に「生理が楽になった」と捉えて放置してしまう人もいるかもしれません。
しかし、これらは体の重要なサインである可能性があり、放置することで様々なリスクを伴うことがあります。
不妊につながる可能性
過少月経や過短月経の主な原因は、女性ホルモン分泌の乱れや子宮内膜の発育不全です。
これらの状態は、排卵が正常に行われなかったり、受精卵が着床するために必要な子宮内膜が十分に厚くならなかったりすることを示唆している場合があります。
- 排卵障害: ホルモンバランスの乱れにより排卵が抑制されている場合、妊娠は成立しません。
過少月経は、排卵が不規則になっている、あるいは無排卵周期になっているサインである可能性があります。 - 子宮内膜の状態: 受精卵が着床し、妊娠を継続するためには、適切な厚さと質の良い子宮内膜が必要です。
過少月経は子宮内膜が薄い状態である可能性が高く、この状態が続くと妊娠しにくくなる可能性があります。
妊娠を希望しているかどうかにかかわらず、将来的に妊娠を考える可能性がある場合は、早めに原因を特定し、必要に応じて治療を受けることが重要です。
特に、年齢が高くなるにつれて妊孕力(妊娠する力)は低下するため、早めの対処が望ましいです。
その他の病気のサイン
過少月経や過短月経は、ホルモンバランスの乱れだけでなく、他の病気が隠れているサインであることもあります。
- 甲状腺疾患: 前述のように、甲状腺ホルモンの異常は生理周期や量に影響を与えます。
過少月経が甲状腺機能亢進症や低下症の初期症状である可能性も考えられます。 - 高プロラクチン血症: 脳下垂体から分泌されるプロラクチンというホルモンが異常に高くなると、排卵が抑制され、生理不順や過少月経、無月経を引き起こします。
- 視床下部・下垂体腫瘍: 非常に稀ですが、脳の視床下部や下垂体にできた腫瘍がホルモン分泌を妨げ、生理に影響を与えることもあります。
- 早期卵巣機能不全: 40歳未満で卵巣機能が低下し、閉経に近い状態になる病気です。
過少月経が最初の兆候として現れることがあります。
これらの病気は、生理の変化だけでなく、様々な全身症状を伴うことがあります。
過少月経が続くだけでなく、強い疲労感、体重の増減、体毛の変化、頭痛、視力障害など、他の気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診し、全身的な検査を受けることが重要です。
過少月経を体のSOSサインと捉え、放置せず向き合うことが、健康維持のためには非常に大切です。
過少月経・過短月経の治し方・改善策
過少月経や過短月経は、原因を特定し、それに応じた適切な治療や生活習慣の改善を行うことで、生理の状態を改善できる可能性があります。
病院での主な治療法(薬物療法など)
過少月経の原因が特定された場合、婦人科医は原因に応じた治療を行います。
- ホルモン補充療法: 女性ホルモンの分泌が不足していることが原因の場合、ホルモン剤(エストロゲンやプロゲステロン)を投与してホルモンバランスを整え、子宮内膜を正常に育てる治療が行われます。
これにより、生理の量や期間が改善されることが期待できます。 - 低用量ピル: ホルモンバランスを整える目的で、低用量ピルが処方されることもあります。
低用量ピルは人工的にホルモン量を調整し、毎月一定量の生理(消退出血)を起こさせる働きがあります。
これにより生理周期が安定し、生理の量もコントロールされます。
ただし、低用量ピル服用中の出血は厳密には「生理」ではなく「消退出血」と呼ばれ、元々子宮内膜を薄くする作用があるため、服用前より出血量が少なくなるのは自然なことです。
過少月経の治療として使う場合は、排卵を休ませて卵巣を休ませる、周期を整える、という目的で行われることが多いです。 - 排卵誘発剤: 妊娠を希望しており、排卵障害が原因で過少月経になっている場合は、排卵を促すための排卵誘発剤が使用されることもあります。
- 基礎疾患の治療: 甲状腺疾患や高プロラクチン血症など、他の病気が原因の場合は、その基礎疾患に対する治療を優先的に行います。
基礎疾患が改善すれば、生理の状態も自然に回復することが多いです。 - 漢方薬: 体質改善やホルモンバランスの調整を目的として、漢方薬が処方されることもあります。
個人の体質や症状に合わせて選ばれます。
治療法は、原因だけでなく、年齢や妊娠希望の有無なども考慮して医師が判断します。
自己判断で市販薬やサプリメントに頼るのではなく、必ず専門医の診断を受けて適切な治療を受けるようにしましょう。
日常生活でできるセルフケア
病院での治療と並行して、あるいは原因が特定できない一時的な過少月経の場合など、日常生活でのセルフケアも非常に重要です。
- ストレス管理: ストレスはホルモンバランスの大敵です。
趣味の時間を持つ、リラックスできる方法(入浴、アロマ、ヨガなど)を取り入れる、十分な休息をとるなど、自分に合った方法でストレスを解消する工夫をしましょう。 - バランスの取れた食事: 偏った食事は栄養不足を招き、ホルモンバランスに影響します。
主食、主菜、副菜をバランス良く摂り、特に女性ホルモンの分泌に関わるタンパク質や、ビタミン・ミネラル(特にビタミンB群、ビタミンE、亜鉛など)を意識して摂取しましょう。
無理なダイエットはせず、健康的な体重を維持することが大切です。 - 十分な睡眠: 睡眠中に様々なホルモンが分泌され、体の修復も行われます。
毎日同じ時間に寝て起きるようにするなど、質の良い睡眠を確保することが重要です。 - 適度な運動: 適度な運動は血行を促進し、ホルモンバランスを整えるのに役立ちます。
ウォーキング、ジョギング、ストレッチなど、無理なく続けられる運動を習慣にしましょう。
ただし、過度な運動は逆効果になることがあるため注意が必要です。 - 体を温める: 体が冷えると血行が悪くなり、生理不順の原因になることがあります。
特に下半身を冷やさないように注意し、温かい飲み物を飲む、湯船にゆっくり浸かる、腹巻きをするなどの対策を取り入れましょう。 - 禁煙・節酒: 喫煙は血行を悪化させ、ホルモンバランスを乱します。
過度な飲酒も同様に体に負担をかけるため、禁煙・節酒を心がけましょう。
ホルモンバランスを整えるための方法
より具体的にホルモンバランスに焦点を当てたセルフケアとしては、以下のような方法があります。
- 大豆製品の摂取: 大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることが知られています。
豆腐、納豆、豆乳などを適度に食事に取り入れることで、ホルモンバランスをサポートする効果が期待できます。 - ハーブティーやアロマ: チェストベリー(チェストツリー)やレッドクローバーなどのハーブは、女性ホルモンに作用すると言われています。
また、クラリセージやゼラニウムなどのアロマオイルも、ホルモンバランスの調整に役立つとされています。
ただし、これらは補助的なものであり、医療行為の代わりにはなりません。
使用する際は専門家(医師や薬剤師など)に相談することをお勧めします。 - サプリメント: 医師の指導のもと、必要な栄養素やホルモンバランスをサポートするサプリメント(例えば、ビタミンB群、ビタミンE、亜鉛、マグネシウム、DHEAなど)を検討することも可能です。
ただし、自己判断での過剰摂取は副作用のリスクがあるため、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。 - リラクゼーション: ホルモンバランスは心の影響を強く受けます。
瞑想、深呼吸、好きな音楽を聴くなど、心が安らぐ時間を作ることで、ストレスを軽減し、ホルモンバランスを整えることにつながります。
これらのセルフケアは、過少月経の直接的な治療にはなりませんが、体を健康な状態に保ち、ホルモンバランスを整えやすくするための助けとなります。
継続することで、生理の状態が改善される可能性も期待できます。
病院を受診すべき目安とチェックリスト
過少月経や過短月経は、一時的なものから病気が原因のものまで様々です。
では、どのような場合に病院を受診すべきでしょうか。
不安な症状を放置しないために、以下の目安を参考にしてください。
こんな症状があれば受診を検討
以下のような症状が見られる場合は、一度婦人科を受診し、専門医に相談することをお勧めします。
- これまで正常だった生理の量が、急に著しく少なくなった状態が続く(特に2〜3周期以上)
- 生理期間が急に短くなった(2日以内)状態が続く(特に2〜3周期以上)
- 生理の量が少ないだけでなく、周期が大幅に乱れている(周期が長い、短い、不安定)
- 生理の量が少ないと同時に、不正出血が見られる
- 過少月経や過短月経と同時に、強い生理痛やPMS(月経前症候群)の症状が悪化した
- 過少月経や過短月経の他に、強い疲労感、体重の急激な変化、体毛の変化、頭痛、脱毛、めまいなど、他の気になる症状がある
- 妊娠を希望しているが、過少月経や過短月経が続いている
- 市販の妊娠検査薬で陰性だったが、生理が来ない、または量が極端に少ない(妊娠の可能性を否定するため)
- 年齢に関係なく、体の変化に不安を感じる
特に、これまで規則的だった生理に急な変化があった場合は、何らかの体のサインである可能性が高いため、早めに受診することが重要です。
【過少月経・過短月経 受診検討チェックリスト】
当てはまる項目があれば、婦人科医への相談を検討しましょう。
チェック項目 | はい | いいえ |
---|---|---|
生理の量が、おりものシートで足りるほど少ない状態が続いている | □ | □ |
生理期間が、出血開始から2日以内で終わってしまう状態が続いている | □ | □ |
これまで規則的だった生理が、急に量や期間が変わった | □ | □ |
生理周期も一緒に乱れている(周期が長くなった/短くなったなど) | □ | □ |
生理期間以外にも、少量の出血(不正出血)がある | □ | □ |
生理痛やPMSの症状が以前より重くなったように感じる | □ | □ |
過少月経以外に、全身的な不調(疲労、体重変化、頭痛など)がある | □ | □ |
妊娠を希望しているが、生理の状態が気になる | □ | □ |
生理の変化について、強い不安やストレスを感じている | □ | □ |
適切な医療機関(婦人科)の選び方
生理に関する相談は、主に「婦人科」で行います。
初めて婦人科を受診する場合や、どこの病院に行けば良いか迷う場合は、以下の点を参考にしてみてください。
- かかりつけ医: もし既に通い慣れた婦人科のかかりつけ医がいる場合は、そこに相談するのが最もスムーズです。
- 自宅や職場の近く: 通院の負担を考えると、自宅や職場の近くで通いやすい病院を選ぶのが現実的です。
- 口コミや評判: インターネットの口コミサイトや地域の評判を参考に、医師やスタッフの対応が良い、相談しやすい雰囲気の病院を探すのも良いでしょう。
ただし、口コミはあくまで個人の意見であり、参考程度に留めるのが賢明です。 - 女性医師: 希望があれば、女性医師がいる病院を選ぶことも可能です。
- プライバシーへの配慮: 受付や待合室、診察室のプライバシーに配慮されているかどうかも、通いやすさに関わる点です。
- 予約システム: Web予約や電話予約ができるか、待ち時間はどうかなども事前に確認しておくとスムーズです。
過少月経や過短月経は、多くの女性が経験する可能性のある症状です。
恥ずかしいことではありません。
専門医に相談することで、原因が明らかになり、適切なアドバイスや治療を受けることができます。
体の不安を解消し、健康的な毎日を送るためにも、勇気を出して一歩踏み出しましょう。
過少月経についてよくある質問
Q: 過少月経でも妊娠できますか?
過少月経の原因によります。
一時的なストレスや軽微なホルモンバランスの乱れによるもので、排卵が正常に行われている場合は、妊娠の可能性はあります。
しかし、排卵障害や子宮内膜の発育不全など、不妊につながる原因で過少月経が起きている場合は、妊娠しにくい状態であると考えられます。
妊娠を希望する場合は、原因を特定するために婦人科を受診することが非常に重要です。
Q: ピルを飲んでいますが、生理の量が少ないのは過少月経ですか?
低用量ピルを服用している場合、意図的に子宮内膜の増殖を抑えることで、生理(消退出血)の量を少なくしています。
これはピルの効果の一つであり、異常ではありません。
ピル服用中の出血は厳密には「生理」ではなく「消退出血」と呼ばれ、量が少ないのは正常な反応です。
過少月経とは区別されます。
ただし、ピルを正しく服用しているにも関わらず全く出血がない場合や、異常な出血が見られる場合は、念のため医師に相談しましょう。
Q: 過少月経だと体内に経血が溜まってしまうのですか?
いいえ、そのようなことはありません。
生理の経血は、子宮内膜が剥がれて血液と共に体外に排出されるものです。
過少月経は、単純に剥がれ落ちる子宮内膜の量が少ない状態であり、剥がれるべき内膜が体内に溜まるということはありません。
心配しないでください。
Q: 基礎体温を測ることで、過少月経の原因が分かりますか?
基礎体温は、排卵の有無や女性ホルモンの分泌状態を把握するのに非常に役立ちます。
正常な基礎体温は低温期と高温期の二相に分かれます。
過少月経の原因が排卵障害や黄体機能不全(プロゲステロン分泌不足)にある場合、基礎体温が無排卵パターンになったり、高温期が短かったり、低温期と高温期の差が小さかったりするなど、異常なパターンを示すことがあります。
基礎体温を記録して医師に見せることで、診断の手がかりになる可能性があります。
Q: 過少月経はどのくらい続いたら病院に行くべきですか?
一般的には、2~3周期以上続く場合は、一度婦人科を受診して相談することを推奨します。
ただし、急激な変化や、過少月経以外に気になる症状がある場合は、1周期でも様子を見ずに早めに受診した方が安心です。
【まとめ】過少月経・過短月経は体の大切なサイン
過少月経や過短月経は、多くの女性が経験する可能性のある生理の変化です。
生理の量や期間がいつもと違うと感じたら、それはあなたの体が何らかのサインを送っているのかもしれません。
ストレスや生活習慣による一時的なホルモンバランスの乱れが原因であることも多いですが、中には婦人科系の病気や、全身の健康状態に関わる病気が隠れている可能性もゼロではありません。
不安を感じたまま一人で悩むのではなく、まずは今回の記事で解説した情報を参考に、ご自身の体の状態と向き合ってみてください。
そして、気になる症状がある場合は、勇気を出して婦人科医に相談しましょう。
専門医の診断を受けることで、原因が明らかになり、適切なアドバイスや治療を受けることができます。
生理に関する悩みは、決して恥ずかしいことではありません。
ご自身の体を大切にし、安心して毎日を送るために、早めのケアを心がけましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の診断や治療法を推奨するものではありません。
個人の症状については、必ず医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。
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