子宮頸管ポリープは心配ない?症状・原因・治療法と妊娠への影響

子宮頸管ポリープは、子宮の入り口にあたる子宮頸部にできる良性の腫瘍です。
多くの女性に見られ、不正出血などの症状を引き起こすことがありますが、無症状の場合も少なくありません。
放置しても問題ないケースが多い一方、まれに別の病気と間違えられたり、妊娠に影響を与えたりすることもあります。
この記事では、子宮頸管ポリープの原因や症状、検査・治療法、そして放置した場合のリスクについて詳しく解説します。
ご自身の体のことで不安を感じている方は、ぜひ参考にしていただき、必要であれば専門の医療機関へ相談を検討してみてください。

子宮頸管ポリープの定義と特徴

子宮頸管は、子宮の下部にある筒状の部分で、膣につながっています。
子宮頸管ポリープは、この子宮頸管の内腔を覆う粘膜が増殖して、イボのように突き出したものです。
形はさまざまですが、茎(根元)があって、先端が丸くなったり、指のようになったりしているものが一般的です。
大きさも数ミリ程度の小さいものから、数センチになるものまで幅広く、通常は単発ですが、複数できることもあります。

ポリープの表面は非常にデリケートで、血管が多く集まっています。
そのため、少しの刺激(性行為や内診など)で出血しやすいという特徴があります。
色は鮮やかな赤色やピンク色をしていることが多いですが、出血を繰り返したり、炎症を起こしたりすると、色が濃くなることもあります。

子宮頸管ポリープは、子宮の入り口付近にできるため、婦人科の内診の際に視診で確認しやすい場所にあります。
しかし、奥の方にできることもあり、その場合は超音波検査などが必要となることもあります。

子宮頸管ポリープは良性?悪性の可能性

子宮頸管ポリープのほとんどは、良性の腫瘍です。
つまり、がんのように周囲の組織に浸潤したり、他の臓器に転移したりすることはありません。
これは、ポリープが子宮頸管の粘膜の過形成によって生じるものであり、本来の細胞構造を大きく逸脱しないためです。

しかし、まれにですが、子宮頸管にできるポリープのような形をした病変の中に、悪性のもの(子宮頸管腺癌など)が隠れている可能性もゼロではありません。
見た目だけでは良性か悪性かを完全に区別することは難しいため、一般的に子宮頸管ポリープが見つかった場合は、切除して病理検査(組織検査)に提出することが推奨されます。

病理検査では、採取した組織を顕微鏡で詳しく調べ、細胞の性質を確認します。
これにより、ポリープが本当に良性であることを確定したり、もし悪性の細胞が見つかった場合は、がんとして適切な治療を開始したりすることが可能になります。

このように、子宮頸管ポリープは基本的に良性ですが、診断を確定し、悪性疾患を除外するためにも、医療機関での正確な診断と、必要に応じた切除・病理検査が非常に重要となります。

子宮頸管ポリープの主な原因

子宮頸管ポリープがなぜできるのか、その原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
ここでは、ポリープ発生に関わる主な原因について説明します。

ホルモンバランスとの関連性

子宮頸管ポリープの発生には、女性ホルモンであるエストロゲンが関係している可能性が高いと考えられています。
エストロゲンは子宮内膜や子宮頸管の粘膜を増殖させる働きがあります。
ホルモンバランスが変化し、特にエストロゲンが優位な状態が続くと、子宮頸管の粘膜が過剰に増殖し、ポリープが形成されやすくなると考えられています。

妊娠中はエストロゲン分泌が増加するため、妊娠中に子宮頸管ポリープができやすくなったり、既存のポリープが大きくなったりすることがあります。
また、出産を経験した女性にポリープが見られることが多い傾向も、出産によるホルモンバランスの変化や、子宮頸管への影響が関係していると考えられています。

ただし、全てのホルモンバランスの乱れがポリープにつながるわけではなく、個人差が大きい部分です。

炎症や物理的な刺激

子宮頸管における慢性の炎症も、ポリープの発生に関わる重要な要因の一つです。
子宮頸管炎などが長期間続くと、炎症による刺激で粘膜が慢性的に刺激され、増殖しやすくなることがあります。

また、物理的な刺激も影響する可能性があります。
例えば、繰り返される性行為による摩擦、タンポンの使用、子宮内避妊器具(IUD)の挿入、過去の分娩や流産に伴う子宮頸管への操作などが、粘膜を刺激し、炎症や組織の異常な増殖を促すことでポリープができると考えられています。

これらの炎症や物理的な刺激が単独で、あるいはホルモンバランスの変化と複合的に作用して、ポリープの形成を促進する可能性があります。

ストレスは原因になる?

直接的に「ストレスが子宮頸管ポリープの直接的な原因である」と断言できる医学的な根拠は乏しいのが現状です。
しかし、長期にわたる過度なストレスは、全身のホルモンバランスに影響を与える可能性があります。

ストレスによって自律神経のバランスが乱れ、それが間接的に女性ホルモンの分泌にも影響を及ぼすことは知られています。
また、ストレスは体の免疫機能を低下させることもあり、炎症が起きやすい状態を作ったり、回復を遅らせたりする要因となり得ます。

これらのことから、ストレスが直接的な原因ではないにしても、ホルモンバランスの乱れや体の抵抗力の低下を通じて、間接的に子宮頸管ポリープが発生しやすい環境を作る可能性は考えられます。
しかし、これはあくまで可能性であり、ポリープが見つかったからといって過度にストレスを心配する必要はありません。
原因を特定するよりも、適切な診断と対応を医療機関で行うことが重要です。

子宮頸管ポリープの症状

子宮頸管ポリープは、大きさや位置によっては全く症状がないことも珍しくありません。
しかし、何らかの症状が現れる場合、最も多いのは出血です。
ここでは、子宮頸管ポリープによって起こりうる主な症状について詳しく説明します。

最も多い症状は出血

子宮頸管ポリープで最も頻繁に見られる症状は、不正出血です。
不正出血とは、生理期間以外に性器から出血があることを指します。
ポリープの表面には細い血管が豊富にあるため、少しの刺激で容易に出血します。

具体的には、以下のような状況での出血が多い傾向があります。

  • 性行為の後の出血: 性行為による子宮頸管への摩擦や衝撃でポリープから出血しやすくなります。性行為後に出血が見られる場合、ポリープが原因である可能性が高いです。
  • 月経期間以外の出血: 月経とは関係なく、少量の出血が続いたり、不定期に出血が見られたりすることがあります。出血の量や色はポリープの大きさや状態によって異なり、鮮血の場合もあれば、褐色のおりものとして現れる場合もあります。
  • 排便・排尿時のいきみによる出血: 排便や排尿時に腹圧がかかることで、子宮頸管にかかる圧力が変化し、ポリープから出血することがあります。
  • 内診や超音波検査後の出血: 医療機関での内診や経膣超音波検査によって子宮頸管に触れた後に出血が見られることがあります。

これらの出血は、通常は少量で自然に止まることが多いですが、出血が続く場合や量が多い場合は、他の病気の可能性も考えられるため、医療機関を受診することが重要です。

おりものの異常(褐色、ピンク色)

ポリープからの少量の出血が、おりものに混じって出てくることがあります。
この場合、おりものの色が褐色やピンク色に見えることがあります。
また、ポリープ自体が炎症を起こしたり、分泌物を出したりすることで、おりものの量が増えたり、粘り気が増したり、臭いが変化したりする場合もあります。

普段と違うおりものが見られる場合は、ポリープだけでなく、感染症や他の疾患の可能性も考えられるため、自己判断せずに医療機関で相談することが大切です。

痛みやお腹の張り

多くの小さな子宮頸管ポリープは、痛みや不快感を伴いません。
しかし、ポリープが大きくなったり、炎症を強く伴ったりする場合には、下腹部の軽い痛みや違和感、お腹の張りのような症状を感じることがごくまれにあります。
これらの症状は、ポリープそのものによる直接的な痛みというよりは、ポリープによる刺激や炎症によって周囲の組織が影響を受けることで生じると考えられます。

ただし、これらの症状は他の婦人科疾患でもよく見られる症状ですので、ポリープが見つかった場合でも、痛みが強い場合や他の症状を伴う場合は、原因を特定するために医師に相談が必要です。

初期症状がない場合

子宮頸管ポリープは、かなりの割合で無症状です。
特に小さいうちは、出血したり他の症状を引き起こしたりすることが少ないため、ご自身では全く気づかないことがほとんどです。

そのため、子宮頸がん検診などの定期的な婦人科検診を受けた際に、内診や視診で偶然発見されるケースが非常に多く見られます。
症状がなくてもポリープが見つかることがあるため、自覚症状がない場合でも、定期的に婦人科検診を受けることが早期発見につながります。

自分で触ってわかる?

子宮頸管は膣の奥に位置しており、健康な状態でもご自身で触って子宮頸管の状態を確認することは困難です。
また、ポリープは柔らかく、大きさも様々であるため、たとえ指が届いたとしても、それがポリープであるかどうかを正確に判断することは、医療知識がない方にはまず不可能です。

ご自身で無理に子宮頸管を触ろうとすると、粘膜を傷つけたり、感染を引き起こしたりする危険性があります。
ポリープの有無や状態を確認するためには、必ず専門知識を持った医師による内診が必要です。
ご自身で触って判断しようとせず、気になる症状がある場合や不安な場合は、医療機関を受診しましょう。

性行為での出血

前述の通り、性行為後の出血は子宮頸管ポリープの典型的な症状の一つです。
性行為による物理的な刺激が、ポリープの表面のデリケートな粘膜や血管を傷つけ、出血を引き起こします。
この出血は、通常は性行為直後や数時間以内に見られ、量は少量であることが多いです。

性行為後の出血は、子宮頸管ポリープ以外にも、子宮頸がんや膣の炎症など、他の原因でも起こりうる症状です。
そのため、「性行為後に出血があったけれど、ポリープだろう」と自己判断せず、必ず医療機関を受診して正確な診断を受けることが重要です。
特に、出血が繰り返されたり、量が多い場合、痛みを伴う場合などは、速やかに受診が必要です。

子宮頸管ポリープの検査・診断

子宮頸管ポリープは、婦人科での診察によって比較的容易に発見されることが多い疾患です。
診断は主に内診と視診によって行われ、必要に応じて超音波検査や組織検査が追加されます。

内診と視診

子宮頸管ポリープの検査は、まず婦人科での内診から始まります。
内診台で、医師はクスコ(膣鏡)という器具を使って膣を広げ、子宮頸管を直接観察します。
これが視診です。

視診によって、子宮頸管の表面に突き出ているポリープの有無、その形(茎があるか、キノコ状かなど)、大きさ、色、表面の状態(滑らかか、ただれているかなど)、そしてポリープがどこから発生しているか(子宮頸管の外側か、内側から出てきているか)などを確認します。

多くの場合、視診でポリープの存在を確認できます。
経験豊富な医師であれば、視診である程度の良悪性の区別をつけることも可能ですが、確定診断には後述の組織検査が必要です。

超音波検査

視診で子宮頸管ポリープが確認された場合や、視診だけでは診断が難しい場合(例えば、ポリープの根元が子宮頸管の奥深くにある場合など)には、超音波検査(エコー検査)が行われることがあります。

婦人科で行われる超音波検査は、主に経膣超音波検査です。
細長いプローブを膣内に挿入して、子宮や卵巣、そして子宮頸管を画像で詳しく観察します。

超音波検査では、ポリープの内部構造や、ポリープの茎がどのくらいの深さまで広がっているか、子宮内部(子宮体部)に異常がないかなどを確認することができます。
これにより、ポリープの全体像をより正確に把握し、切除方法の検討や他の疾患との鑑別に役立てます。

組織検査(病理検査)の必要性

子宮頸管ポリープと診断された場合、通常は切除して組織検査(病理検査)に提出されます。
これは、見た目がポリープのように見えても、ごくまれに悪性の腫瘍である可能性があるため、これを確定診断するためです。

切除されたポリープは、病理医によって顕微鏡で詳しく調べられます。
細胞の形や並び方、核の状態などを観察し、それが良性のポリープであるのか、あるいは悪性の細胞(がん細胞)が含まれていないかを確認します。

この病理検査の結果をもって、最終的な診断が確定されます。
ほとんどの場合は良性のポリープであることが確認されますが、もし悪性の細胞が見つかった場合には、がんとしてより詳しい検査や治療が必要となります。

すべてのポリープで病理検査が必要というわけではありませんが、診断の確定と悪性疾患の除外のために、切除後の病理検査は子宮頸管ポリープの診断において非常に重要なステップとされています。

子宮頸管ポリープの治療法

子宮頸管ポリープが見つかった場合の主な治療法は、ポリープを切除することです。
症状の有無やポリープの大きさ、悪性の可能性などを考慮して、医師が切除の必要性を判断します。

ポリープ切除術について

子宮頸管ポリープの治療の第一選択は、ポリープ切除術(ポリペクトミー)です。
これは、文字通り子宮頸管からポリープを取り除く手術です。
多くの場合、外来で短時間で行うことが可能です。

切除の方法は、ポリープの大きさや茎の太さによって異なりますが、一般的には以下のような方法が用いられます。

  • 鉗子(かんし)による切除: ペンチのような形をした医療用の鉗子でポリープの茎を挟み、回転させたり引き抜いたりして切り離す方法です。小さいポリープや茎が細い場合に用いられます。
  • 電気メスやレーザーによる切除: 茎が太い場合や、出血を抑えたい場合に、電気メスやレーザーを用いて茎を焼き切る方法が用いられることがあります。

これらの手技は、内診台で行われ、通常は数分から10分程度で終了します。
切除したポリープは、前述の通り病理検査に提出されます。

切除後は、少量の出血が見られることがありますが、自然に止まることがほとんどです。
切除術は比較的簡単で安全な処置ですが、まれに出血が多くなったり、感染を起こしたりする可能性もゼロではありません。

切除術は痛い?麻酔は?

子宮頸管自体には痛覚があまりないため、ポリープの切除術は、多くの場合強い痛みを感じることは少ないです。
ポリープの茎を切断する際に、引っ張られるような違和感や、チクッとした軽い痛みを感じる程度であることが多いです。

そのため、通常は麻酔は必要ありません
しかし、ポリープが大きい場合や、茎が太く切断に時間がかかる場合、また患者さんが痛みに不安を感じやすい場合などには、局所麻酔(子宮頸管周囲に麻酔薬を注射する)を用いることがあります。
麻酔を使用することで、ほとんど痛みを感じずに処置を受けることが可能です。

処置後の数日間、下腹部に軽い痛みや違和感を感じることがありますが、市販の鎮痛剤で対応できる程度であることが多いです。

切除後の注意点

ポリープ切除術を受けた後は、いくつかの注意点があります。
これらを守ることで、出血や感染のリスクを減らし、回復をスムーズに進めることができます。

  • 出血: 処置後に少量の出血が見られることがありますが、これは正常な反応です。通常は数日〜1週間程度で止まります。生理用ナプキンで対応できる程度の量であることがほとんどですが、もし出血の量が多かったり、塊が出たり、生理のように続いたりする場合は、医療機関に連絡してください。
  • 安静: 処置当日は、激しい運動や重いものを持つことは避け、なるべく安静に過ごすことが推奨されます。
  • 入浴: 切除後数日間は、感染予防のため湯船に浸かることを避け、シャワーで済ませるように指示されることが多いです。具体的な期間は医師の指示に従ってください。
  • 性行為: ポリープを切除した場所が回復するまで、一定期間は性行為を控える必要があります。通常は出血が完全に止まってから、1週間〜10日程度控えるように言われることが多いですが、これも医師の指示を必ず守ってください。
  • タンポンの使用: 感染リスクを高めるため、タンポンの使用は切除後しばらく控える必要があります。ナプキンを使用しましょう。

これらの注意点を守り、もし異常な症状(出血が多い、痛みが強い、発熱など)が現れた場合は、すぐに医療機関に相談してください。

自然治癒はする?

子宮頸管ポリープが自然に消失することはほとんどありません
一度できたポリープは、症状がなくてもそのまま存在し続けるか、ゆっくりと大きくなることがあります。

症状がある場合(不正出血など)や、ポリープが大きい場合、または病理検査のために組織を採取する必要がある場合は、切除による治療が推奨されます。
無症状で小さいポリープの場合は、経過観察を選択することもありますが、完全に自然に消えることは期待できません。

そのため、「そのうち治るだろう」と放置せず、医師の診断を受け、切除が必要かどうかを判断してもらうことが重要です。

子宮頸管ポリープを放置するとどうなる?

子宮頸管ポリープは多くが良性であり、小さく無症状の場合は必ずしも緊急の治療を必要としないこともあります。
しかし、放置することでいくつかのリスクや影響が考えられます。

悪性化するリスク

良性のポリープ自体が、時間とともに悪性の腫瘍(がん)に変化する可能性は非常に低いと考えられています。
つまり、「良性のポリープを放置していたら、それが子宮頸がんになった」というケースは、一般的には考えにくいです。

しかし、前述の通り、見た目がポリープに似ていても、実際には初期の子宮頸がんや別の種類の悪性腫瘍である可能性がごくまれにあります。
症状がない場合や、不正出血などの症状があっても「きっとポリープだろう」と自己判断して放置してしまうと、悪性疾患の発見が遅れてしまうリスクがあります。

そのため、ポリープと診断された場合は、良性であることを確定するためにも、また悪性疾患を見落とさないためにも、切除して病理検査を行うことが重要視されるのです。

出血や感染のリスク

ポリープを放置すると、不正出血が続く可能性があります。
特に、性行為や排便時のいきみなどの刺激で出血が繰り返されると、貧血を引き起こす原因となることもあります。

また、ポリープは表面がデリケートで傷つきやすいため、細菌などが付着して炎症を起こしやすい状態になることがあります。
ポリープが炎症を起こすと、おりものの増加や悪臭、下腹部の不快感などの症状が現れることがあります。
さらに、炎症が広がることで、子宮頸管炎や、まれに骨盤内の炎症を引き起こす可能性も考えられます。

常に少量の出血やおりもの異常があると、不快感があるだけでなく、衛生面でも問題が生じやすくなります。

妊娠への影響(不妊、流産・早産の可能性)

子宮頸管ポリープがあることが、直接的に妊娠を不可能にするわけではありません。
しかし、ポリープの大きさや位置によっては、妊娠に影響を与える可能性が指摘されています。

  • 不妊: 子宮頸管は、精子が子宮内へ入っていく通り道です。大きなポリープが子宮頸管を塞ぐように存在している場合、精子の通り道を物理的に妨げ、受精の確率を下げることで不妊の原因となる可能性が考えられます。
  • 妊娠中の出血: 妊娠中にポリープがある場合、ホルモンバランスの変化によってポリープが大きくなったり、出血しやすくなったりすることがあります。妊娠中の出血は、不安を招くだけでなく、切迫流産や切迫早産と間違えられる可能性もあります。
  • 流産・早産の可能性: まれではありますが、大きなポリープが炎症を起こしたり、子宮頸管への物理的な刺激となったりすることで、子宮の収縮を誘発し、流産や早産の原因となる可能性も指摘されています。

妊娠を希望している場合や、すでに妊娠している場合にポリープが見つかった場合は、ポリープの大きさや状態を考慮して、切除が必要かどうかを医師と相談することになります。
妊娠中でも、必要と判断されれば、比較的安全な時期を選んで切除が行われることがあります。

このように、子宮頸管ポリープは多くの場合は心配のない良性疾患ですが、放置することで悪性疾患の見落とし、出血や感染、妊娠への影響などのリスクが考えられます。
症状がある場合や、定期検診で指摘された場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と対応を受けることが大切です。

子宮頸管ポリープ切除の費用について

子宮頸管ポリープの切除術にかかる費用は、保険適用となるかどうか、また医療機関の種類(病院かクリニックか)や、切除方法、病理検査の有無などによって変動します。

保険適用の有無

子宮頸管ポリープの切除術は、一般的に健康保険が適用される医療行為です。
これは、ポリープが病気の一種(良性腫瘍)であり、治療の対象となるためです。

保険適用となるため、医療費の窓口負担は、年齢や加入している健康保険の種類によって異なりますが、通常は医療費総額の1割、2割、または3割となります。

ただし、初診料や再診料、病理検査の費用、処方される薬代などは、切除術の費用とは別に加算されます。
また、個室を希望したり、保険適用外の検査や処置を追加で行ったりした場合は、別途費用が発生します。

実際の目安費用

子宮頸管ポリープの切除費用(手術費用)は、保険適用で3割負担の場合、数千円程度が目安となることが多いです。
しかし、これに加えて以下のような費用がかかります。

  • 初診料または再診料
  • 病理検査費用: 切除したポリープを病理検査に提出した場合にかかる費用です。これも保険適用となり、目安は3,000円〜1万円程度です(医療機関によって異なります)。
  • 薬剤費: 処置後に処方される痛み止めや止血剤などの薬代です。
  • その他: 超音波検査など追加で行った検査費用など。

これらの費用を合計すると、子宮頸管ポリープの切除にかかる総額は、数千円から1万5千円程度となることが多いと考えられます。

ただし、これはあくまで目安であり、ポリープの個数、大きさ、切除の難易度、使用する麻酔の有無、医療機関の方針などによって費用は変動します。
事前に正確な費用を知りたい場合は、受診する医療機関に直接問い合わせて確認することをおすすめします。

子宮頸管ポリープ切除にかかる費用の目安(保険適用3割負担の場合)

項目 目安費用(3割負担) 備考
手術費用 数千円 ポリープの大きさや数による
病理検査費用 3,000円〜1万円程度 切除したポリープを検査に出す場合
初診料/再診料 数百円〜数千円 受診回数や医療機関による
薬剤費 数百円〜数千円 処方される薬の種類や量による
超音波検査 数千円 必要な場合に追加
合計 数千円〜1万5千円程度 あくまで目安。医療機関によって変動する

この表はあくまで一般的な目安であり、個別の状況によって費用は異なります。
詳細は必ず受診される医療機関にご確認ください。

子宮頸管ポリープは再発する?

子宮頸管ポリープは、一度切除しても再発する可能性があります。
これは、ポリープができる原因(ホルモンバランスの変動や慢性炎症など)が根本的に解決されない場合があるためです。

再発の可能性と対策

ポリープの再発率は、報告によって異なりますが、数%から20%程度とされています。
再発しやすいかどうかは、個人の体質や、ポリープができた原因(例えば慢性の炎症があるかどうか)などが影響すると考えられます。

再発を防ぐための根本的な治療法は現在のところ確立されていません。
しかし、再発の可能性を理解しておくことは重要です。

再発を早期に発見するためには、定期的な婦人科検診が最も効果的な対策となります。
特に、ポリープを切除した経験がある方や、過去に複数回ポリープができたことがある方は、定期的に婦人科を受診し、子宮頸管の状態をチェックしてもらうことが推奨されます。

再発したポリープも、症状があったり大きかったりする場合は、前回と同様に切除による治療が行われます。
多くの場合、再発したポリープも良性ですが、稀に悪性疾患が隠れている可能性は常に考慮されるため、再発の場合でも病理検査が行われることが一般的です。

定期的な検診を通じて、再発の兆候を早期に捉え、必要に応じて適切な対応をとることが、健康管理の上で重要となります。

子宮頸管ポリープに関するよくある質問

子宮頸管ポリープについて、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

ポリープがあっても妊娠できますか?

多くの場合、子宮頸管ポリープがあっても妊娠することは可能です。
小さなポリープであれば、妊娠に直接的な影響を与えることはほとんどありません。

しかし、ポリープが大きい場合や、子宮頸管を塞いでしまうような位置にある場合は、精子の通り道を妨げて妊娠しにくくなる可能性が考えられます。
このような場合は、妊娠を希望する前にポリープを切除することを検討することがあります。

また、妊娠中にポリープが見つかった場合、ホルモンバランスの変化でポリープが大きくなったり、出血しやすくなったりすることがあります。
妊娠中の出血は不安を招くため、医師の判断によっては、妊娠週数を考慮して比較的安全な時期にポリープを切除することもあります。

妊娠への影響はポリープの状態や個人の状況によって異なるため、妊娠を希望している方や妊娠中の方は、必ず医師に相談してアドバイスを受けてください。

切除後の性行為はいつから可能ですか?

子宮頸管ポリープの切除後、切除した場所がしっかりと回復するまで、性行為は控える必要があります
具体的な期間は、ポリープの大きさや切除方法、出血の状態などによって異なりますが、一般的には出血が完全に止まってから、さらに数日〜1週間程度控えるように指示されることが多いです。
目安としては、切除後1週間から10日程度と考えておくと良いでしょう。

性行為を再開する前に、出血が完全に止まっていること、下腹部痛などの症状がないことを確認してください。
無理に早く性行為を再開すると、切除部が再び傷ついて出血したり、感染を引き起こしたりするリスクがあります。
必ず医師の指示に従い、不安な場合は再開時期について医師に確認してください。

検診でポリープが見つかったら?

子宮頸がん検診などで子宮頸管ポリープを指摘された場合、症状がなくてもまずは医師の説明をしっかり聞くことが重要です。

医師は、ポリープの大きさ、形、位置などを見て、切除が必要かどうかを判断します。
多くの場合、診断を確定するため(良性か悪性かを確認するため)に切除と病理検査が推奨されます。
症状がないからといって放置せず、医師の勧めに従って切除を行うことが、悪性疾患の早期発見につながるため非常に大切です。

切除が必要と診断された場合は、処置の日程や所要時間、痛みについて、切除後の注意点などを医師に確認しましょう。
不安な点があれば、遠慮なく質問してください。

子宮頸管ポリープが心配な方は婦人科へ

子宮頸管ポリープは、不正出血やおりもの異常などの症状を引き起こすことがありますが、無症状の場合も少なくありません。
症状がある場合、それがポリープによるものか、あるいは別の疾患によるものかを自己判断することはできません。
また、症状がなくても、子宮頸がん検診などでポリープを指摘された場合は、悪性疾患の可能性を否定するためにも詳しい検査が必要です。

子宮頸管ポリープは、専門医による内診や検査によって診断されます。
ほとんどは良性で心配のないものですが、まれに悪性の可能性があったり、放置することで出血や感染、妊娠への影響が生じたりするリスクも考えられます。

不正出血やおりものの異常など、気になる症状がある方、または定期的な婦人科検診を受けていない方で不安がある方は、迷わず婦人科を受診しましょう。
専門医による正確な診断と、必要に応じた適切な処置を受けることが、ご自身の健康を守る上で最も重要です。
不安を抱え込まず、まずは相談することから始めてみてください。

免責事項: 本記事で提供される情報は一般的な知識としてのものであり、個々の状況に対する医学的なアドバイスや診断を提供するものではありません。特定の症状がある場合や健康上の懸念がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の診断と指導を受けてください。本情報の利用によって生じたいかなる結果についても、当方は責任を負いかねますのでご了承ください。

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