骨盤内炎症性疾患(PID)は、女性の生殖器や骨盤内の臓器に細菌が感染して炎症を起こす病気です。子宮、卵管、卵巣、そしてそれらを覆う骨盤腹膜などが影響を受けます。この疾患は、特に性的に活動的な女性に多く見られますが、性行為以外が原因となることもあります。
症状は軽い腹痛や微熱から、強い痛みを伴う重症な状態まで様々です。症状が軽いために気づきにくい場合もありますが、放置すると不妊症や異所性妊娠(子宮外妊娠)などの深刻な後遺症につながる可能性があります。そのため、早期に正確な診断を受け、適切な治療を行うことが非常に重要です。
骨盤内炎症性疾患(PID)とは
骨盤内炎症性疾患(Pelvic Inflammatory Disease; PID)は、女性の骨盤内にある生殖器(子宮、卵管、卵巣)や、その周辺組織(骨盤腹膜、広間膜など)に細菌が感染して炎症を起こす状態を総称したものです。これは、子宮内膜炎、卵管炎、卵管卵巣膿瘍、骨盤腹膜炎など、上部女性性器の様々な炎症性疾患の組み合わせを含みます出典: CDC。この疾患は、通常、膣や子宮頸部から細菌が上行性に広がることによって発生します。
PIDは、性感染症が主な原因となることが知られていますが、それ以外の細菌によって引き起こされることもあります。炎症がどの範囲に及んでいるかによって、病名が細分化されることもありますが、広くはPIDとして扱われます。
PIDの定義と範囲
PIDは、子宮内膜炎、卵管炎、卵巣炎、骨盤腹膜炎など、骨盤内の様々な部位における炎症性疾患を包括する概念です。病原体が膣や子宮頸部から子宮、卵管へと上昇し、最終的に卵巣や骨盤腹膜にまで広がる可能性があります。炎症がどの段階にあるか、どの臓器が主に侵されているかによって、症状の重さや広がり方が異なります。
- 子宮内膜炎: 子宮の内側を覆う子宮内膜に炎症が起こります。月経不順や不正出血、下腹部痛などの症状が出ることがあります。
- 卵管炎: 卵管に炎症が起こるもので、PIDの中で最も一般的です。卵管は受精卵が子宮へ運ばれる重要な通り道であり、ここが炎症を起こすと将来の妊娠に影響が出やすいです。
- 卵巣炎: 卵管の炎症が卵巣に及んだ状態です。卵管卵巣膿瘍(卵管と卵巣が一緒に炎症を起こし膿が溜まった状態)を形成することもあります。
- 骨盤腹膜炎: 骨盤内の臓器を覆う腹膜に炎症が広がった状態です。腹膜は痛覚が鋭いため、強い腹痛や吐き気、発熱などの全身症状が出やすいです。
これらの炎症が単独で起こることもありますが、多くの場合、卵管炎を中心に複数の臓器に炎症が及んでいる状態をPIDと診断します。炎症が進行すると、臓器同士がくっつく「癒着」を引き起こし、慢性的な痛みの原因となったり、卵管の機能障害を引き起こしたりします。
付属器炎とは
付属器炎とは、特に卵管と卵巣に起こる炎症を指します。これらは「付属器」と呼ばれるため、付属器炎という病名が使われます。PIDの中で最も頻繁に見られるのがこの付属器炎であり、特に卵管炎が中心となることが多いです。
卵管は非常に細くデリケートな構造をしており、炎症が起こると内壁のヒダが破壊されたり、閉塞したりしやすくなります。卵管が閉塞すると、卵子と精子が出会うことができず不妊の原因となったり、受精卵が子宮まで移動できずに卵管内で着床してしまう異所性妊娠(子宮外妊娠)のリスクを高めたりします。
付属器炎の主な症状は下腹部痛ですが、炎症が片側の付属器に限定されている場合は、下腹部の片側のみに痛みが現れることもあります。発熱を伴うことが多く、重症化すると強い腹痛や吐き気などが現れます。
骨盤腹膜炎とは
骨盤腹膜炎は、骨盤内の臓器を覆う腹膜に炎症が及んだ状態です。これはPIDがさらに進行した、より重症な状態と言えます。腹膜は全身に繋がっているため、腹膜に炎症が起こると、全身症状が現れやすくなります。
典型的な症状は、強い下腹部全体の痛み、腹部の膨満感、吐き気、嘔吐、高熱、悪寒などです。お腹を軽く押しただけでも痛く、押した手を離すときに強い痛みを感じる(反跳痛)などの腹膜刺激症状が見られます。放置すると、炎症が全身に広がり、敗血症などの生命に関わる状態に陥る危険性もあります。
骨盤腹膜炎は緊急性の高い状態であり、多くの場合、入院して集中的な点滴治療が必要となります。膿瘍(膿が溜まった袋)を形成している場合は、手術による処置が必要となることもあります。
骨盤内炎症性疾患(PID)の原因
骨盤内炎症性疾患(PID)の主な原因は細菌感染です。特に性感染症の原因となる細菌が重要な役割を果たします。米国疾病対策センター(CDC)も指摘しているように、PIDにはクラミジア(C. trachomatis)や淋菌(N. gonorrhoeae)がしばしば関与しています出典。
主な原因菌
PIDの最も一般的な原因菌は、クラミジア・トラコマチスと淋菌です。これらは性感染症の代表的な病原体であり、感染しても自覚症状がほとんどないことも多いため、気づかないうちにパートナー間で感染が広がり、PIDを引き起こすことがあります。
- クラミジア・トラコマチス: 若い女性に多く見られる性感染症の原因菌です。子宮頸管炎を起こすことが多く、放置すると卵管へと感染が広がりPIDを引き起こします。クラミジアによるPIDは、淋菌によるものと比べて症状が軽い傾向がありますが、後遺症のリスクは同様に高いとされています。
- 淋菌: クラミジアと同様に性感染症の原因菌です。淋菌によるPIDは、クラミジアに比べて症状が急激に現れ、重症化しやすい傾向があります。強い下腹部痛や高熱など、典型的なPIDの症状を伴うことが多いです。
これらの性感染症の原因菌以外にも、以下のような細菌がPIDの原因となることがあります。
- 大腸菌などの腸内細菌: 性行為やその他の経路で膣に侵入し、上行性に感染を広げる可能性があります。
- マイコプラズマやウレアプラズマ: これらも性感染症の原因となることがあり、PIDの原因となる可能性が指摘されています。
- B群連鎖球菌などの常在菌: 通常は膣や子宮頸管に存在する常在菌ですが、体の抵抗力が落ちた際や、子宮内操作などをきっかけに増殖し、上行性感染を引き起こすことがあります。
多くの場合、PIDは単一の細菌によるものではなく、複数の細菌が混合して感染している「多菌性感染」であることが多いとされています。特にクラミジアや淋菌感染に加えて、常在菌や腸内細菌が混合感染しているケースが多く見られます。
感染経路
PIDの主な感染経路は、性行為による上行性感染です。膣や子宮頸部に感染した細菌が、子宮を経由して卵管、卵巣、そして骨盤腹膜へと上行性に広がっていくことによってPIDが発生します。子宮頸管は通常、細菌がそれより奥に進むのを防ぐバリアの役割を果たしていますが、性感染症の原因菌はしばしばこのバリアを突破する能力を持っています。また、月経中は子宮頸管が開くため、細菌が上行しやすくなると考えられています。
性行為による感染以外にも、以下のような経路で細菌が骨盤内に侵入し、PIDを引き起こすことがあります。
- 子宮内操作後: 流産や人工妊娠中絶後の子宮内容除去術、子宮鏡検査、子宮卵管造影検査、分娩など、子宮内に器具を挿入したり操作を行ったりした後に、細菌が侵入し感染を起こすことがあります。
- 子宮内避妊器具(IUD)の使用: IUDの挿入時に細菌が持ち込まれたり、IUDが細菌の上行を助けたりする可能性が指摘されています。ただし、IUD自体が直接PIDの原因となるわけではなく、挿入後数週間以内のリスクが高いとされています。
- その他の経路: 非常にまれですが、血行性やリンパ行性で細菌が骨盤内に運ばれてくる場合や、虫垂炎などの炎症が骨盤内に波及する場合もあります。
リスク因子
PIDの発症には、いくつかのリスク因子が知られています。これらの因子に該当する場合、PIDにかかる可能性が高まります。
主なリスク因子は以下の通りです。
- 若年: 性的に活動的な若い女性(特に15歳〜25歳)は、子宮頸管の組織が未熟であることなどから、感染しやすい傾向があります。
- 複数の性的パートナー: パートナーが多いほど、性感染症に感染するリスクが高まり、それに伴いPIDのリスクも上昇します。
- 新しい性的パートナー: 新しいパートナーとの性行為も、性感染症のリスクを高めます。
- 性感染症の既往: 過去にクラミジアや淋菌などの性感染症にかかったことがある場合、再感染のリスクや、PIDを発症しやすい可能性があります。
- PIDの既往: 一度PIDにかかったことがある場合、卵管などの組織がダメージを受けていることがあり、再発しやすい傾向があります。
- 避妊法の種類: コンドームを使用しない性行為は、性感染症のリスクを高めます。経口避妊薬(ピル)は性感染症自体は予防しませんが、PIDの発症リスクを低下させるという報告もあります。IUDの使用に関しては、挿入後数週間以内のリスクが指摘されていますが、全体的なリスク上昇については議論があります。
- 子宮内操作の既往: 流産や人工妊娠中絶後の処置、子宮鏡検査などを行ったことがある場合、その後の数週間はリスクが高まります。
これらのリスク因子に心当たりがある場合は、PIDの症状に特に注意を払い、必要に応じて性感染症の検査を受けるなどの予防策を講じることが重要です。
骨盤内炎症性疾患(PID)の症状
骨盤内炎症性疾患(PID)の症状は非常に幅広く、まったく症状がない場合から、命にかかわるほどの重症な状態まで様々です。そのため、診断が難しい場合もあります。しかし、いくつかの典型的な症状があります。
主な症状(下腹部痛・発熱)
PIDで最もよく見られる症状は、下腹部痛と発熱です。
- 下腹部痛: PID患者の約90%に下腹部痛が見られるとされています。痛みの程度は軽微な鈍痛から、日常生活に支障をきたすほどの強い痛みまで様々です。痛みの場所は下腹部全体の場合もあれば、左右どちらかの卵巣や卵管のある部分に限定されることもあります。痛みの性質も、継続的な痛み、ズキズキする痛み、重い感じの痛みなど個人差があります。性交時や内診時に痛みが強くなる傾向があります。また、月経中や月経直後に症状が悪化することもあります。
- 発熱: 発熱もPIDの重要な症状の一つです。微熱(37℃台後半)の場合もあれば、38℃以上の高熱が出ることもあります。特に淋菌による感染や、炎症が腹膜に及んでいる骨盤腹膜炎の場合は、高熱が出やすい傾向があります。発熱に伴って、悪寒や倦怠感を伴うこともあります。
その他の症状
下腹部痛や発熱以外にも、PIDでは様々な症状が現れることがあります。
- 不正出血: 月経期間ではないのに出血が見られることがあります。子宮内膜炎を伴っている場合によく見られます。
- おりものの変化: おりものの量が増えたり、色(黄色、緑色など)やにおいが変化したりすることがあります。原因となっている細菌の種類によって、おりものの特徴が異なる場合があります。
- 排尿時痛: 膀胱にも炎症が及んだり、尿道に感染があったりする場合に、排尿時に痛みや不快感を感じることがあります。
- 性交時痛: 性交時、特に深い挿入時に骨盤の奥の方に痛みを感じることがあります。これは炎症を起こした臓器に刺激が加わるために起こります。
- 吐き気・嘔吐: 炎症が広がり、骨盤腹膜炎を伴っている場合や、痛みが強い場合に吐き気や嘔吐を伴うことがあります。食欲不振になることもあります。
- 倦怠感: 全身の炎症反応として、体がだるく感じたり、疲れやすくなったりすることがあります。
これらの症状はPIDに特徴的なものですが、他の婦人科疾患や消化器疾患、泌尿器疾患でも見られることがあるため、症状だけでPIDと断定することはできません。
症状の現れ方
PIDの症状の現れ方は、感染の原因となった細菌の種類や、炎症の進行速度、個人の免疫力などによって大きく異なります。
- 急性PID: 症状が比較的急激に現れるタイプです。強い下腹部痛、高熱、悪寒、吐き気などの症状が突然、あるいは数日のうちに現れます。淋菌による感染や、子宮内操作後などに起こりやすいとされています。
- 慢性PID: 症状が軽いか、ほとんどないまま炎症がくすぶり続けるタイプです。軽度の下腹部痛や腰痛、月経不順、不正出血などが断続的に続くことがあります。クラミジアによる感染などで見られることが多く、症状が軽いために医療機関を受診せず、気づかないうちに卵管のダメージが進行している場合があります。
- 無症状: PIDにかかっているにも関わらず、自覚症状が全くないケースもあります。特にクラミジア感染によるPIDでは、無症状のことが多いと言われています。無症状のまま炎症が進行し、不妊症などの後遺症の原因となることがあるため注意が必要です。
このように、PIDの症状は多様であり、軽い症状であっても放置せずに医療機関を受診することが、後遺症を防ぐ上で非常に重要です。
骨盤の内側が痛い場合
「骨盤の内側が痛い」と感じる場合、PIDの可能性が考えられます。具体的には、子宮、卵管、卵巣、またはそれらの周辺の腹膜に炎症が起きていることによる痛みです。
この痛みは、下腹部の比較的深いところに感じられることが多いです。痛みの場所は炎症を起こしている臓器によって異なります。例えば、卵管や卵巣の炎症が主であれば、下腹部の左右どちらか、あるいは両側に痛みが感じられるかもしれません。子宮内膜炎が主であれば、下腹部の中央部に痛みが感じられることがあります。炎症が骨盤腹膜に広がると、下腹部全体に痛みが広がり、体動時や腹部を圧迫・解放したときに痛みが強くなることがあります。
痛みの感じ方も様々で、鈍い痛みが続く場合もあれば、周期的にズキズキする痛み、あるいは急激な激痛として現れることもあります。
ただし、骨盤の内側の痛みはPID以外にも様々な原因で起こります。例えば、子宮内膜症、卵巣嚢腫の茎捻転や破裂、子宮筋腫、異所性妊娠、便秘、過敏性腸症候群、尿路結石、虫垂炎、憩室炎など、婦人科疾患、消化器疾患、泌尿器疾患などが考えられます。これらの疾患とPIDを区別するためには、痛みの特徴だけでなく、発熱や不正出血、おりものの変化などの他の症状の有無、月経周期との関連、性交渉の状況などを総合的に考慮し、医師による診察と検査が必要です。
腹膜炎の症状チェック
炎症が骨盤腹膜に及んだ状態、すなわち骨盤腹膜炎は、PIDの中でも重症な状態であり、迅速な対応が必要です。以下の症状が見られる場合は、骨盤腹膜炎の可能性が高く、すぐに医療機関を受診するべきです。
症状項目 | チェックリスト(あれば〇) | 詳細と注意点 |
---|---|---|
強い下腹部痛 | 〇 | 腹部全体に広がる痛みが強く、安静にしていても痛む。 |
腹部の圧痛 | 〇 | お腹を軽く押すだけでも痛みが強い。 |
反跳痛 | 〇 | お腹をゆっくり押して、急に手を離したときに痛みが強まる。腹膜刺激症状の典型。 |
筋性防御 | 〇 | お腹の筋肉が硬くなり、触診を拒むような状態。腹膜刺激症状の典型。 |
高熱 | 〇 | 38℃以上の高熱を伴うことが多い。悪寒を伴うこともある。 |
吐き気・嘔吐 | 〇 | 炎症が強い場合、食欲不振や吐き気、実際に嘔吐することがある。 |
腹部膨満感 | 〇 | 腸の動きが悪くなる(麻痺性イレウス)により、お腹が張って感じる。 |
全身倦怠感 | 〇 | 体が非常にだるく、起き上がることが困難な場合がある。 |
頻脈 | 〇 | 心拍数が速くなることがある。 |
血圧低下 | 〇 | 重症化した場合、血圧が低下しショック状態になる危険がある。 |
これらの症状は、炎症が全身に広がりつつあるサインである可能性があります。特に反跳痛や筋性防御は、腹膜炎に特徴的な所見です。これらの症状に気づいた場合は、速やかに救急病院などを受診してください。
骨盤内炎症性疾患(PID)の診断
骨盤内炎症性疾患(PID)の診断は、患者さんの症状や病歴、身体診察(内診)、そしていくつかの検査を組み合わせて総合的に行われます。PIDの症状は非特異的なことが多いため、診断が難しい場合もあります。
問診と内診
診断の最初のステップは、医師による詳しい問診と内診です。
- 問診: 医師は患者さんから現在の症状(痛みの場所、強さ、いつから始まったか、発熱の有無、おりものの変化、不正出血など)について詳しく聞き取ります。また、月経歴、性交渉の状況(パートナーの数、新しいパートナーの有無、性感染症の既往やパートナーの性感染症の状況、避妊法の使用など)、妊娠・出産の経験、流産や人工妊娠中絶の経験、子宮内操作の既往(IUD挿入など)、過去のPIDの既往など、PIDのリスク因子や鑑別診断に役立つ情報を得ます。
- 内診: 医師は腟鏡を用いて腟や子宮頸部の状態(おりものの量や性状、炎症の有無など)を観察し、子宮頸管から分泌物を採取します。次に、医師は指を腟に入れて、お腹の上からもう一方の手で圧迫し、子宮や付属器(卵管・卵巣)を触診します。PIDの場合、子宮頸部を動かした際に強い痛みを感じたり(子宮頸部移動時痛)、付属器を触診した際に圧痛があったりすることが重要な所見となります。また、付属器の腫れやしこりを感じることもあります。
これらの問診と内診でPIDが強く疑われる場合に、確定診断や重症度評価のためにさらなる検査が行われます。
検査(血液・超音波・MRIなど)
PIDの診断や評価のために、様々な検査が用いられます。
- 血液検査:
- 炎症反応: 白血球数(WBC)やCRP(C反応性タンパク)などの炎症マーカーを測定し、体内に炎症が起きているかどうか、その程度はどうかを評価します。PIDではこれらの値が上昇することが多いです。
- その他の項目: 必要に応じて、貧血の有無や肝機能、腎機能などを調べることもあります。
- 超音波検査(エコー検査): PIDの診断において非常に有用な画像検査です。経腟超音波や経腹超音波を用いて、子宮や卵管、卵巣のサイズや形、内部の状態を観察します。卵管の腫れ(卵管留水腫や卵管留膿腫)、卵巣の腫れ、卵管卵巣膿瘍(膿が溜まった袋)の有無やサイズ、骨盤内に液体が溜まっているかなどを確認することができます。超音波検査は侵襲性が低く、ベッドサイドで迅速に行えるメリットがあります。
- MRI検査: 超音波検査で診断が難しい場合や、膿瘍の評価、他の疾患との鑑別が必要な場合に行われることがあります。骨盤内の臓器や炎症の範囲をより詳細に画像化することができます。
- CT検査: 虫垂炎や憩室炎など、消化器系の疾患などPID以外の腹痛の原因疾患が疑われる場合に、鑑別診断のために行われることがあります。
微生物検査
PIDの原因となっている細菌を特定することは、適切な抗菌薬を選択するために非常に重要です。
- 子宮頸管分泌物検査: 内診時に採取した子宮頸管の分泌物を用いて、性感染症の原因菌(クラミジア、淋菌など)の検査を行います。PCR法などの高感度な検査が広く用いられています。また、淋菌やその他の細菌の培養検査を行うこともあります。
- おりもの検査: 腟炎や細菌性腟症を合併している場合、おりものの状態や原因菌を調べる検査を行います。
- 血液培養: 高熱が出ているなど、全身に感染が及んでいる可能性がある重症例の場合、血液中に細菌がいないか調べる血液培養検査を行うことがあります。
- 腹腔液や膿瘍内容物の培養検査: 超音波ガイド下穿刺や手術によって採取した腹腔内の液体や膿瘍の内容物について、培養検査を行い、原因菌を特定することがあります。
これらの微生物検査によって原因菌が特定されれば、その菌に最も効果的な抗菌薬を選ぶことができます。結果が出るまでに時間がかかる場合でも、まずは一般的な原因菌に効果のある抗菌薬で治療を開始し、検査結果が出た後に必要に応じて抗菌薬を変更することがあります。
関連疾患との鑑別
PIDの症状は、他の様々な疾患の症状と似ていることがあります。そのため、正確な診断のためには、これらの関連疾患との鑑別が非常に重要です。
PIDと鑑別が必要な主な疾患は以下の通りです。
- 虫垂炎: 特に右下腹部痛が強い場合、PIDとの区別が必要です。虫垂炎は発熱や吐き気を伴うことが多く、症状が似ています。血液検査やCT検査などが鑑別に役立ちます。
- 憩室炎: 大腸の憩室に炎症が起こる病気で、特にS状結腸の憩室炎では左下腹部痛が主症状となり、PIDと症状が似ることがあります。CT検査などが鑑別に有用です。
- 卵巣嚢腫の茎捻転または破裂: 卵巣にある嚢腫がねじれたり破裂したりすると、突然の激しい下腹部痛を起こします。超音波検査が診断に役立ちます。
- 異所性妊娠(子宮外妊娠): 受精卵が子宮以外の場所(多くは卵管)に着床した場合、下腹部痛や不正出血を起こします。妊娠検査や超音波検査で診断します。破裂すると命に関わるため緊急の対応が必要です。
- 子宮内膜症: 子宮内膜に似た組織が子宮外にできる病気で、慢性的な骨盤痛や性交時痛、月経痛などを起こします。超音波検査やMRI検査、腹腔鏡検査などで診断します。
- 尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎): 尿をする際の痛みや頻尿、腰痛、発熱などの症状があり、PIDと症状が似ることがあります。尿検査で診断します。
- 機能性腹痛: 明確な器質的な原因が見つからない慢性的な腹痛です。
これらの疾患はそれぞれ治療法が異なるため、正確な診断を下すことが適切な治療につながります。医師は問診、内診、および各種検査の結果を総合的に判断して、PIDであるか、あるいは他の疾患であるかを慎重に見極めます。
骨盤内炎症性疾患(PID)の治療法
骨盤内炎症性疾患(PID)の治療の主な目的は、感染の原因となっている細菌を排除し、症状を改善させることです。これにより、炎症が進行して卵管などの組織がダメージを受け、不妊症や慢性骨盤痛などの後遺症を残すことを防ぎます。
抗菌薬による治療
PIDの治療の基本は、抗菌薬(抗生物質)による治療です。原因菌として最も多いクラミジアや淋菌、そしてその他の細菌にも効果のある抗菌薬が選択されます。多くの場合、複数の種類の抗菌薬を組み合わせて使用します。
- 抗菌薬の種類: テトラサイクリン系(ドキシサイクリンなど)、セファロスポリン系(セフトリアキソンなど)、マクロライド系(アジスロマイシンなど)、キノロン系、メトロニダゾールなどが、PIDの原因菌に対してよく使用される抗菌薬です。原因菌の特定ができた場合は、その菌に最も効果的な抗菌薬が選ばれます。
- 投与経路: 症状の程度によって、内服薬または点滴静注による投与が選択されます。
- 軽症〜中等症: 外来で治療可能であれば、内服薬による治療が行われます。通常、複数の種類の抗菌薬を10日~14日程度服用します。
- 重症: 高熱や強い腹痛がある場合、吐き気や嘔吐で内服が難しい場合、膿瘍を伴っている場合などは、入院して点滴静注による治療が行われます。点滴で症状が改善した後に、内服薬に切り替えて治療を継続することがあります。
- 治療期間: 抗菌薬の治療期間は、通常10日~14日程度です。症状が改善したからといって自己判断で服用を中止せず、医師から指示された期間は最後までしっかり服用することが重要です。途中で中断すると、細菌が完全に排除されず、再発したり抗菌薬が効きにくい耐性菌が出現したりする可能性があります。
また、PIDの原因が性感染症である場合、患者さんの性的パートナーも同時に検査を受け、必要であれば治療を受けることが非常に重要です。パートナーが治療を受けずにいると、治癒しても再び感染してしまう(ピンポン感染)リスクがあるためです。
重症例に対する治療
PIDが重症で、以下のいずれかに該当する場合は、入院して集中的な治療が必要となることが多いです。
- 高熱(38℃以上)や強い腹痛がある
- 吐き気や嘔吐がひどく、経口摂取が困難
- 経口抗菌薬で症状が改善しない
- 膿瘍(骨盤に膿が溜まった袋)を伴っている
- 診断が確定しておらず、他の重篤な疾患(虫垂炎など)との鑑別が必要
- 妊娠している場合(流産などのリスクが高まるため)
- 免疫力が低下している場合(HIV感染など)
入院治療では、主に点滴による抗菌薬治療が行われます。経口摂取が難しい場合は、輸液による水分や栄養の補給も行われます。痛みが強い場合は、鎮痛剤も使用されます。一般的に、点滴治療を開始して24〜48時間以内に症状が改善することが多いとされています。症状が改善したら、内服薬に切り替えて退院し、治療を継続します。
膿瘍(骨盤に水がたまる状態)への対応
PIDが進行すると、卵管や卵巣、あるいはその周辺に膿が溜まった袋、すなわち骨盤内膿瘍(卵管卵巣膿瘍など)を形成することがあります。これはPIDの合併症であり、同時に後遺症として長期間残存したり、再燃の原因となったりすることもあります。膿瘍は触ると痛みを伴う腫瘤として感じられたり、超音波検査やCT/MRI検査で確認されたりします。「骨盤に水がたまる状態」と感じられることもありますが、これは炎症性の液体や膿が溜まっている状態を指します。
膿瘍がある場合も、まずは強力な抗菌薬による治療が行われます。抗菌薬だけで膿瘍が小さくなることもありますが、膿の量が多かったり、抗菌薬の効果が不十分であったりする場合は、膿瘍に針を刺して膿を排出するドレナージという処置が必要になることがあります。
ドレナージは、超音波やCTの画像を見ながら、腟や腹壁を通して膿瘍に針を刺し、チューブなどを留置して膿を持続的に排出する方法(経腟的ドレナージ、経皮的ドレナージ)があります。これにより、膿瘍のサイズを小さくし、抗菌薬の効果を高めることができます。
ドレナージや抗菌薬治療でも改善が見られない場合や、膿瘍が破裂する危険がある場合、あるいは非常に大きい場合などは、手術が必要となることがあります。手術では、腹腔鏡手術または開腹手術によって膿瘍を摘出したり、炎症を起こした卵管や卵巣を切除したりします。
治療期間と注意点
PIDの治療期間は、通常10日~14日程度ですが、症状の重さや個人差、治療への反応によって長くなることもあります。
治療中の注意点は以下の通りです。
- 抗菌薬の指示通りの服用: 症状が改善しても、医師から指示された期間は必ず抗菌薬を最後まで服用してください。
- 安静: 炎症が強い時期は無理をせず、できるだけ安静に過ごすことが症状の改善を早めます。
- 性行為の制限: 治療期間中は、骨盤内への刺激を避けるため、性行為は控えるようにしてください。治癒後も、パートナーの治療が完了するまでは再感染のリスクがあります。
- アルコール・喫煙: アルコールは炎症を悪化させる可能性があり、喫煙は血行を悪くするため、治療中は控えることが望ましいです。
- 治療効果の確認: 抗菌薬治療を開始して数日以内に症状が改善することが期待されますが、症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、すぐに医療機関に連絡してください。また、治療終了後も、炎症が完全に治まっているか、原因菌が排除されたかを確認するために、再診を受けることが推奨されます。
- パートナーの治療: PIDの原因が性感染症である場合、無症状であってもパートナーも検査・治療を受けることが、再感染を防ぎ、パートナーの健康を守る上で極めて重要です。
適切な治療を早期に開始し、医師の指示をしっかり守ることが、後遺症を防ぐために最も重要です。
骨盤内炎症性疾患(PID)の合併症・後遺症
骨盤内炎症性疾患(PID)は、適切に治療されない場合や炎症が重症であった場合、様々な合併症や後遺症を残す可能性があります。これらの後遺症は、女性の将来の健康や妊娠に深刻な影響を与えることがあります。
不妊症・異所性妊娠
PIDによって最も懸念される後遺症の一つが、不妊症と異所性妊娠(子宮外妊娠)のリスク上昇です。
PID、特に卵管炎は、卵管に不可逆的なダメージを与える可能性があります。卵管の内側の繊毛(せんもう)と呼ばれる細かな毛のような構造は、卵子や受精卵を子宮へと運ぶ役割を担っていますが、炎症によってこの繊毛が破壊されたり、卵管が癒着や閉塞を起こしたりすることがあります。
- 不妊症: 卵管が完全に閉塞してしまうと、卵子と精子が出会うことができなくなり、自然妊娠が難しくなります。卵管の一部が狭窄したり、癒着によって卵管の動きが悪くなったりした場合も、受精や受精卵の輸送がうまくいかなくなり、不妊の原因となります。PIDにかかったことがある女性は、かかったことのない女性に比べて不妊症になるリスクが数倍高くなるとされています。PIDの重症度が増すほど、不妊症のリスクも高まります。
- 異所性妊娠: 異所性妊娠とは、受精卵が子宮内膜以外の場所(多くは卵管)に着床してしまう状態です。PIDによって卵管の内側がダメージを受け、受精卵がスムーズに子宮へ移動できなくなることで起こりやすくなります。卵管に着床した受精卵は成長できないだけでなく、卵管を破裂させて大出血を引き起こす危険性があるため、緊急手術が必要となることがあります。PIDの既往は、異所性妊娠の最も重要なリスク因子の一つです。
PIDによる卵管のダメージは、治療が遅れたり、炎症が重症であったりするほど大きくなる傾向があります。そのため、早期に診断を受け、適切な治療を行うことが、不妊症や異所性妊娠といった重篤な後遺症を防ぐ上で極めて重要です。
慢性骨盤痛
PIDのもう一つの重要な後遺症は、慢性骨盤痛です。これは、PIDが治癒した後も、下腹部や骨盤のあたりに痛みが長期間(通常6ヶ月以上)続く状態を指します。
慢性骨盤痛の原因は完全に解明されていませんが、PIDによる炎症後の癒着が関与していると考えられています。炎症によって骨盤内の臓器(子宮、卵管、卵巣、腸など)や組織が周囲とくっついてしまうと、それが引っ張られたり圧迫されたりして痛みを引き起こすことがあります。また、炎症によって神経が過敏になり、痛みの信号を伝えやすくなっている可能性も指摘されています。
慢性骨盤痛は、日常生活、仕事、性生活などに大きな影響を与えることがあります。痛みは持続的な鈍痛の場合もあれば、特定の動作や体位、月経周期に関連して強くなる場合もあります。慢性骨盤痛に対する治療は難しく、鎮痛剤、理学療法、精神療法、場合によっては癒着を剥がす手術などが検討されますが、必ずしも完全に痛みがなくなるわけではありません。
PIDの既往がある女性の約20%が慢性骨盤痛を発症すると言われています。特にPIDを繰り返し発症している場合や、初回のエピソードが重症であった場合にリスクが高いとされています。
骨盤内膿瘍
PIDが適切に治療されなかった場合や、炎症が非常に強かった場合、卵管や卵巣、あるいはその周辺に膿が溜まった袋、すなわち骨盤内膿瘍(卵管卵巣膿瘍など)を形成することがあります。これはPIDの合併症であり、同時に後遺症として長期間残存したり、再燃の原因となったりすることもあります。
骨盤内膿瘍は、強い下腹部痛や高熱、吐き気などの症状を伴うことが多く、全身状態が悪化する危険性もあります。抗菌薬による治療が基本ですが、抗菌薬だけでは膿瘍が消失しない場合や、膿瘍が大きい場合、破裂の危険がある場合などは、膿瘍に針を刺して膿を出すドレナージや、手術による摘出が必要となります。
膿瘍を形成した場合は、不妊症や慢性骨盤痛といった後遺症のリスクもさらに高まります。また、膿瘍が一度治癒しても、中に残った瘢痕組織が感染の温床となり、PIDを繰り返しやすくなることもあります。
これらの合併症や後遺症を避けるためには、PIDの症状に気づいたら、軽度であっても決して自己判断せず、速やかに医療機関を受診し、正確な診断と適切な治療を早期に開始することが何よりも重要です。そして、治療終了後も、医師の指示に従って再検査を受け、炎症が完全に治まっていることを確認することが推奨されます。
骨盤内炎症性疾患(PID)の予防
骨盤内炎症性疾患(PID)は、性感染症が主な原因であることから、その予防には性感染症対策が非常に重要です。また、早期に発見し、早期に治療を開始することが、PIDの進行や後遺症を防ぐために不可欠です。
性感染症の予防
PIDを予防するための最も効果的な方法は、その主な原因である性感染症にかからないようにすることです。
- 安全な性行為: 性行為の際にコンドームを正しく使用することは、クラミジアや淋菌などの性感染症の感染リスクを大幅に減らすことができます。新しいパートナーとの性行為や、複数のパートナーがいる場合は、特にコンドームの使用を徹底することが重要です。
- 性的パートナーの数の制限: 性的パートナーの数が多いほど、性感染症に感染するリスクが高まります。パートナーの数を制限することは、リスクを減らす一つの方法です。
- 定期的な性感染症検査: 性感染症、特にクラミジアや淋菌は、感染しても自覚症状がほとんどないことがあります。性的に活動的な方や、パートナーが複数いる方、新しいパートナーができた方などは、定期的に性感染症の検査を受けることが推奨されます。早期に感染を発見し治療することで、PIDへの進行を防ぐことができます。パートナーも一緒に検査・治療を受けることが理想です。
- パートナーとのコミュニケーション: パートナーと性感染症について話し合い、お互いの性感染症の検査状況を確認することは、信頼関係を築き、感染リスクを減らす上で重要です。
- 子宮内操作時の注意: 流産・人工妊娠中絶後の子宮内容除去術やIUD挿入などの子宮内操作を行う際は、術前・術後に予防的に抗菌薬を投与することが、PIDの発生リスクを減らすために行われることがあります。医療機関の指示に従ってください。
これらの予防策を講じることで、PIDの発症リスクを減らすことができます。
早期発見・早期治療の重要性
万が一、PIDにかかってしまった場合でも、重症化や後遺症を防ぐためには、早期に発見し、速やかに適切な治療を開始することが極めて重要です。
前述したように、PIDは症状が軽い場合や、無症状の場合も少なくありません。しかし、症状が軽くても、卵管などで炎症は密かに進行している可能性があります。炎症が長引いたり、重症化したりするほど、卵管のダメージは大きくなり、不妊症や異所性妊娠、慢性骨盤痛といった後遺症のリスクが高まります。
- 症状に気づいたら医療機関へ: 軽度であっても、普段とは違う下腹部痛、不正出血、おりものの変化、微熱などの症状に気づいた場合は、「たいしたことない」と自己判断せず、早めに婦人科などの医療機関を受診することが大切です。
- リスクがある場合は検査を検討: 性感染症にかかるリスクが高い行動があった場合(コンドームなしの性行為など)や、パートナーが性感染症にかかっていることがわかった場合は、症状がなくてもPIDや性感染症の検査を受けることを検討してください。
- 医師の指示通りの治療: PIDと診断されたら、症状が改善しても自己判断で治療を中断せず、医師から指示された期間、最後までしっかりと抗菌薬を服用することが、再発や耐性菌の出現を防ぎ、炎症を完全に抑えるために不可欠です。
- 治療後の確認: 治療終了後も、指示された時期に再診を受け、炎症が治まっているか、原因菌が排除されたかなどを確認することが推奨されます。
PIDの後遺症は、一度発症すると元に戻すことが難しい場合があります。だからこそ、予防に努めるとともに、もしも感染してしまった場合の早期発見・早期治療が、ご自身の将来の健康を守る上で最も大切になります。
骨盤内炎症性疾患(PID)が疑われる場合は
もし、あなたが以下のような症状に気づいたり、PIDにかかるリスクに心当たりがあったりする場合は、迷わず婦人科などの医療機関を受診してください。
- 普段とは違う下腹部痛がある(軽い痛みでも、続いている場合)
- 原因不明の発熱がある(特に微熱が続いている場合)
- おりものの量が増えたり、色やにおいが変化したりした
- 生理とは関係ない出血(不正出血)がある
- 性交時に奥の方に痛みを感じる
- 過去に性感染症にかかったことがある
- 新しい性的パートナーがいる、または複数のパートナーがいる
- パートナーが性感染症にかかっているとわかった
- 最近、流産や人工妊娠中絶、IUD挿入などの子宮内操作を受けた
これらの症状はPID以外の病気でも起こり得ますが、PIDであった場合には早期の診断と治療が非常に重要です。症状が軽いからといって放置していると、気づかないうちに炎症が進み、卵管がダメージを受けて不妊症になったり、異所性妊娠のリスクが高まったり、慢性的な痛みに悩まされたりする可能性があります。
医療機関では、詳しい問診や内診、そして必要に応じて血液検査、超音波検査、微生物検査などが行われ、正確な診断が下されます。PIDと診断された場合でも、早期に適切な抗菌薬治療を開始すれば、炎症を抑え、後遺症のリスクを最小限にすることができます。
ご自身の体のサインに耳を傾け、気になる症状があればためらわずに専門家である医師に相談することが、ご自身の健康、そして将来の妊娠を考える上で最も賢明な選択です。PIDは早期発見・早期治療が鍵となる疾患です。
免責事項:
本記事は、骨盤内炎症性疾患(PID)に関する一般的な情報を提供することを目的としており、医学的なアドバイスや自己診断、治療の推奨を行うものではありません。
個々の症状や状態については個人差があります。診断や治療については、必ず医師にご相談ください。
本記事の情報によって生じたいかなる結果についても、筆者は一切の責任を負いません。
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