月経不順に悩む女性は少なくありません。「生理が予定通りに来ない」「周期が安定しない」といった経験は、多くの方が一度は抱く不安です。月経不順は、単なる生活リズムの乱れだけでなく、体のサインである可能性も。
この記事では、月経不順の定義や種類、主な原因から、自分でできるセルフケア、そして病院を受診すべき目安まで、詳しく解説します。ご自身の体の状態を知り、適切な対処法を見つけるための参考にしてください。
生理がこない原因や対処法について、okamura-clinic.or.jpのサイトでも解説されていますので、そちらも合わせて参考にしてください。
月経不順とは?定義と正常な周期
月経(生理)は、女性の体調のバロメーターとも言われます。毎月規則的に訪れるのが理想ですが、ちょっとした体調の変化やストレスでも周期が乱れることがあります。月経不順とは、この月経周期が正常な範囲から外れてしまう状態を指します。
正常な月経周期と期間
正常な月経周期は、一般的に25日から38日とされています。これは、月経が始まった日から次の月経が始まる前日までの日数を指します。また、周期の変動は6日以内であれば正常の範囲内とされます。例えば、今月は28日周期で来ても、来月は30日周期、その次は27日周期、といったように多少のばらつきがあっても、この範囲内であれば大きな問題はないことが多いです。
月経が続いている期間(出血期間)は、3日から7日が正常とされています。出血量についても個人差がありますが、異常に多かったり少なかったりする場合は注意が必要です。
正常な月経周期と期間の定義を表にまとめると、以下のようになります。
項目 | 正常範囲 | 説明 |
---|---|---|
月経周期 | 25日~38日 | 月経開始日から次の月経開始前日までの日数。 |
周期変動 | 6日以内 | 周期の長さのばらつき。 |
出血期間 | 3日~7日 | 月経が続いている日数。 |
出血量 | 個人差あり | 多すぎず少なすぎず、ナプキン交換が適切に行える範囲。 |
月経不順の主なタイプ(頻発月経・希発月経・無月経など)
月経不順には、周期の長さによっていくつかのタイプがあります。
- 頻発月経(ひんぱつげっけい): 月経周期が24日より短い場合。月に2回生理が来るような状態です。原因としては、卵巣機能の一時的な低下や、ホルモンバランスの乱れなどが考えられます。
- 希発月経(きはつげっけい): 月経周期が39日より長い場合。2~3ヶ月に1回しか生理が来ないような状態です。卵巣機能の低下や、ホルモン分泌の異常などが原因となることがあります。
- 無月経(むげっけい): 月経が3ヶ月以上来ない状態を指します。妊娠以外の原因で無月経が続く場合は、様々な健康リスクが高まるため、早期の受診が必要です。
- 過長月経(かちょうげっけい): 月経が8日以上続く場合。出血量が多い、少ないに関わらず、だらだらと出血が続く状態です。子宮の病気などが原因となることがあります。
- 過短月経(かたんげっけい): 月経が2日以内で終わってしまう場合。出血量が極端に少ないこともあります。ホルモンバランスの乱れや子宮の発育不全などが考えられます。
- 不正出血: 月経期間ではないのに出血がある場合。これは月経不順とは少し異なりますが、ホルモンバランスの乱れや子宮・卵巣の病気のサインである可能性があるため、必ず婦人科を受診しましょう。
これらの月経不順のタイプは、体のどこかで異常が起きているサインかもしれません。ご自身の月経周期を記録しておくと、体の状態を把握しやすくなります。
月経不順の主な原因
月経不順の背景には、様々な原因が潜んでいます。多くの場合はホルモンバランスの乱れによるものですが、中には病気が隠れていることもあります。
ホルモンバランスの乱れ
月経周期は、脳の視床下部、下垂体、そして卵巣という3つの臓器が連携し、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2つの女性ホルモンを分泌することでコントロールされています。この連携のどこかに異常が生じると、ホルモンバランスが乱れ、月経不順が起こります。
ホルモンバランスが乱れる主な要因は以下の通りです。
ストレスと月経不順の関係
精神的なストレスや体の疲れは、脳の視床下部に大きな影響を与えます。視床下部は、月経周期をコントロールする司令塔のような働きをしていますが、ストレスを感じるとこの働きが抑制されてしまいます。その結果、下垂体や卵巣への指令がうまくいかなくなり、ホルモン分泌が乱れて月経周期が不安定になるのです。
仕事や人間関係の悩み、引っ越しや転職などの環境の変化、睡眠不足、過労などもストレスとなり得ます。特に感受性の高い方や、ストレスを溜め込みやすい方は、月経不順が起こりやすい傾向があります。
過度なダイエットや体重変動
急激な体重減少や、BMI(体格指数)が極端に低い状態(痩せすぎ)は、月経不順の大きな原因となります。女性ホルモン、特にエストロゲンは、ある程度の体脂肪がないと正常に分泌されません。過度なダイエットによって体脂肪が急激に減少すると、ホルモン分泌が低下し、無月経になることもあります。また、急激な体重増加もホルモンバランスを崩す原因となり得ます。
健康的な月経周期を保つためには、極端な食事制限ではなく、バランスの取れた食事と適度な運動による緩やかな体重管理が重要です。
睡眠不足や不規則な生活
私たちの体には体内時計があり、ホルモン分泌もこのリズムに合わせて行われています。睡眠不足や昼夜逆転のような不規則な生活は、この体内時計を乱し、ホルモンバランスに悪影響を与えます。特に、月経周期に関わるホルモンは睡眠中に分泌されるものもあるため、質の良い十分な睡眠をとることは、月経不順の改善に不可欠です。
婦人科系の病気(子宮・卵巣など)
月経不順の背景には、子宮や卵巣の病気が隠れていることもあります。
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS): 卵巣の中に小さな卵胞がたくさんできてしまい、排卵がうまくいかなくなる病気です。希発月経や無月経、不正出血などを引き起こす代表的な原因の一つです。ホルモンバランスの異常が原因と考えられており、月経不順の他にニキビが増えたり、毛深くなったりする症状が見られることもあります。
- 子宮筋腫: 子宮の筋肉にできる良性の腫瘍です。発生する場所や大きさによっては、過長月経、過多月経(出血量が多い)、不正出血の原因となり、月経不順のように見えることがあります。貧血を伴うことも多いです。
- 子宮内膜症: 子宮の内側にあるべき子宮内膜の組織が、子宮以外の場所(卵巣や腹膜など)で増殖する病気です。強い月経痛や性交痛、不妊の原因となるほか、月経周期の乱れや不正出血を引き起こすこともあります。
- 卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ): 卵巣にできる良性の腫瘍で、多くは特に症状がありません。しかし、ホルモンを分泌するタイプの卵巣嚢腫の場合は、ホルモンバランスが乱れて月経不順や不正出血の原因となることがあります。
- 早期卵巣機能不全: 40歳未満で卵巣の機能が低下し、無月経や希発月経になる状態です。閉経が早まることになります。
これらの病気は、適切な診断と治療が必要です。気になる症状がある場合は、早めに婦人科を受診することが大切です。
その他の病気(甲状腺など)
月経不順は、婦人科系の病気だけでなく、全身の病気が原因で起こることもあります。
- 甲状腺機能異常: 甲状腺は代謝をコントロールするホルモンを分泌していますが、この機能に異常があると、月経周期にも影響が出ることがあります。甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)や甲状腺機能低下症(橋本病など)のどちらでも月経不順が見られることがあります。
- 高プロラクチン血症: 脳の下垂体から分泌されるプロラクチンというホルモンが過剰になる状態です。プロラクチンは通常、授乳中に乳汁分泌を促すホルモンですが、非妊娠・非授乳期に高値になると排卵を抑制し、無月経の原因となります。下垂体にできた腫瘍などが原因となることがあります。
これらの病気も、適切な治療によって月経不順が改善することが期待できます。
年齢による影響
月経周期は、女性の生涯を通じて変化します。特に、思春期と更年期は、ホルモンバランスが大きく変動するため、月経不順が起こりやすい時期です。
思春期の月経不順
初経を迎えてから数年間は、まだ卵巣機能やホルモン分泌の仕組みが十分に安定していません。そのため、月経周期が不規則になったり、無排卵月経(排卵を伴わない月経)になったりすることがよくあります。多くの場合は成長とともに自然に安定していきますが、周期が極端に長かったり、なかなか安定しない場合は、何か原因がある可能性も考えられます。
更年期の月経不順
40代に入ると、卵巣機能が徐々に低下し始め、女性ホルモンの分泌量が変動します。これにより、月経周期が短くなったり長くなったり、出血量が変化したりと、月経不順が起こりやすくなります。最終的に月経が完全に停止する「閉経」を迎えます。更年期の月経不順は自然な体の変化の一部ですが、症状が辛い場合や、病気との区別が難しい場合もあるため、婦人科で相談することも有効です。
月経不順は放置しても大丈夫?要注意なケース
「いつか治るだろう」「これくらい大丈夫かな」と月経不順を放置してしまう方もいるかもしれません。しかし、月経不順は体の不調を示すサインであり、放置することで様々な健康リスクが高まる場合があります。
月経不順は何日続くと異常?
前述したように、正常な月経周期は25日~38日、変動は6日以内です。この範囲から外れる場合は月経不順と考えられます。特に以下のケースは注意が必要です。
- 月経周期が24日より短い頻発月経が続く
- 月経周期が39日より長い希発月経が続く
- 月経周期が極端に不規則で、全く予測できない
- 月経が8日以上続く過長月経
- 月経が2日以内で終わる過短月経
一時的な周期の乱れであれば様子を見ても良い場合もありますが、これらの状態が数ヶ月続く場合は、一度婦人科を受診することをおすすめします。
生理が3ヶ月以上来ない場合(無月経)
最も注意が必要な月経不順の一つが、3ヶ月以上月経が来ない無月経です。妊娠以外で無月経が続く場合は、排卵が長期間起きていない可能性が非常に高く、体のどこかに異常があるサインと考えられます。
特に、今まで順調に月経があった方が急に無月経になった場合は、ストレス、無理なダイエット、病気など、様々な原因が考えられます。思春期や更年期ではないのに無月経が続く場合は、決して放置せず、すぐに婦人科を受診してください。
放置するリスク(不妊、骨粗しょう症など)
月経不順、特に排卵が起きていない状態や無月経を放置すると、将来の健康に様々な影響が出ることがあります。
主なリスクは以下の通りです。
リスク | 説明 |
---|---|
不妊 | 排卵が正常に行われないため、妊娠しにくくなります。特に多嚢胞性卵巣症候群など、排卵障害が原因の月経不順は不妊につながることがあります。 |
骨粗しょう症 | 女性ホルモン(エストロゲン)には骨密度を保つ働きがあります。ホルモン分泌が低下した状態が続くと、骨密度が低下し、将来的に骨粗しょう症のリスクが高まります。 |
高脂血症 | ホルモンバランスの乱れは、脂質代謝にも影響を与え、悪玉コレステロールが増加するなど、高脂血症のリスクを高める可能性があります。 |
動脈硬化 | 高脂血症が続くと、血管の動脈硬化が進みやすくなります。将来的に心筋梗塞や脳卒中などのリスクを高める可能性があります。 |
子宮体がん | 排卵がなくプロゲステロンの分泌が不足している状態が続くと、子宮内膜が剥がれ落ちずに厚くなり続け、子宮体がんのリスクを高める可能性があります。 |
自律神経失調症 | ホルモンバランスの乱れは、自律神経にも影響を与え、めまい、ほてり、だるさなどの自律神経失調症状を引き起こすことがあります。 |
これらのリスクを回避するためにも、月経不順が続く場合は、早めに婦人科を受診し、原因を特定して適切な治療を受けることが非常に重要です。特に将来妊娠を希望される方は、月経周期の異常を放置しないようにしましょう。
月経不順を改善するためのセルフケア
月経不順の原因が病気ではない場合や、病気の治療と並行して、生活習慣を見直すことで月経周期を安定させることが期待できます。ここでは、自分でできるセルフケアの方法をご紹介します。生理周期を整えるポイントなど、こちらのサイトでも解説されています。
食生活の見直し
バランスの取れた食事は、ホルモンバランスを整える基本です。特に意識したい点は以下の通りです。
- 主食・主菜・副菜を揃える: エネルギー源となる炭水化物、体を作るタンパク質、体の調子を整えるビタミン・ミネラルをバランス良く摂取することが大切です。
- 体を冷やす食べ物を控える: 冷たい飲み物や体を冷やす性質のある食材(きゅうり、トマトなど)の摂りすぎは、血行不良を招き、月経不順の原因となることがあります。温かい飲み物や体を温める性質のある食材(生姜、ネギなど)を積極的に摂りましょう。
- 鉄分を意識的に摂る: 月経期間中は血液が失われるため、貧血になりやすいです。レバー、赤身の肉、ほうれん草、ひじきなど、鉄分が豊富な食品を積極的に摂りましょう。ビタミンCと一緒に摂ると吸収率がアップします。
- 女性ホルモンに似た働きをする食品: 大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)に含まれるイソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをすると言われています。ただし、過剰摂取は避けて適量を取り入れるのが良いでしょう。
- 極端な食事制限は避ける: 過度なカロリー制限や糖質制限は、栄養不足を招き、ホルモンバランスを崩す原因となります。健康的な体重を維持できるよう、無理のない範囲でバランスの良い食事を心がけましょう。
適度な運動
体を動かすことは、血行促進やストレス解消につながり、月経不順の改善に役立ちます。
- ウォーキングや軽いジョギング: 全身の血行を良くし、冷え性の改善にも効果が期待できます。毎日少しずつでも続けることが大切です。
- ストレッチやヨガ: 体の緊張をほぐし、リラックス効果を高めます。自律神経を整えることにもつながります。
- 過度な運動は避ける: プロのアスリートのように過酷なトレーニングを行っている場合は、ホルモンバランスが乱れ、無月経になることがあります。あくまで「適度な」運動を心がけましょう。
日常生活に無理なく取り入れられる運動を見つけるのが継続のコツです。
十分な睡眠と休息
睡眠は体の回復に非常に重要であり、ホルモンバランスや自律神経の調整にも深く関わっています。
- 質の良い睡眠を確保: 毎日同じ時間に寝て起きる、寝る前にカフェインやアルコールを控える、寝室の環境を整えるなど、質の良い睡眠をとる工夫をしましょう。
- 十分な睡眠時間: 必要な睡眠時間には個人差がありますが、一般的に7〜8時間程度が良いとされています。日中に眠気を感じる場合は、睡眠時間が足りていないサインかもしれません。
- 休息をしっかりとる: 忙しい毎日の中でも、休憩時間を設けたり、休日にはリラックスできる時間を作ったりするなど、心身を休ませることが大切です。
ストレス解消法
ストレスは月経不順の大きな原因の一つです。自分に合ったストレス解消法を見つけて、日々の生活に意識的に取り入れましょう。
- 趣味の時間を作る: 好きなことに没頭する時間は、気分転換になり、ストレスを軽減してくれます。
- リラクゼーション: 香りの良いアロマを焚く、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、好きな音楽を聴くなど、心身がリラックスできる時間を作りましょう。
- 軽い運動: ウォーキングやストレッチなど、体を動かすこともストレス解消に効果的です。
- 友人や家族に話を聞いてもらう: 一人で抱え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらうことで、気持ちが楽になることがあります。
体を温める方法
体が冷えると血行が悪くなり、月経周期に悪影響を与えることがあります。日頃から体を冷やさないように意識しましょう。
- 温かい飲み物や食べ物: 普段から冷たい飲み物を避け、温かいものを摂るようにしましょう。生姜湯やハーブティーなどもおすすめです。
- 湯船に浸かる: シャワーだけでなく、毎日湯船に浸かることで体の芯から温まり、血行が促進されます。
- 服装の工夫: 夏場でも冷房の効いた場所では羽織るものを用意したり、冬場は重ね着や腹巻きなどで体を冷やさないようにしましょう。特に足首や首元を温めるのが効果的です。
これらのセルフケアを実践しても月経不順が改善しない場合や、セルフケアと同時に気になる症状がある場合は、一人で抱え込まず、専門家である婦人科医に相談することが重要です。
月経不順で病院(婦人科)を受診する目安
月経不順は、必ずしも病気が原因とは限りませんが、中には放置すると重篤な病気につながるケースや、将来の妊娠に影響するケースもあります。ご自身の月経不順の原因を知り、適切なアドバイスや治療を受けるためには、婦人科を受診することが最も確実です。生理がこない場合の対処法や受診の目安について、こちらの記事も参考になります。
どんな症状があれば受診すべき?
以下のような症状が見られる場合は、できるだけ早く婦人科を受診することをおすすめします。
- 月経周期が3ヶ月以上来ない(無月経)
- 月経周期が極端に短い(24日未満)または長い(39日以上)状態が数ヶ月続く
- 月経周期の変動が非常に大きい(6日以上)状態が数ヶ月続く
- 月経期間が極端に短い(2日以内)または長い(8日以上)
- 月経量が異常に多い(夜用ナプキンでも間に合わないほど)または少ない
- 強い月経痛がある
- 月経時以外に不正出血がある
- 月経不順とともに、全身の症状がある(例:体重の急激な増減、異常な発汗、動悸、抜け毛、乳汁分泌など)
- 数ヶ月、または1年以上月経不順が続いている
- 将来的に妊娠を希望しているが、月経周期が不規則
- 思春期や更年期ではないのに、月経不順が続く
- セルフケアを試しても改善が見られない
これらの症状は、ホルモンバランスの大きな乱れや、子宮・卵巣、あるいはその他の全身疾患が原因である可能性を示しています。「これくらい」と思わずに、専門家の意見を聞くことが安心につながります。
受診時の準備
婦人科を受診する際は、事前に準備をしておくと診察がスムーズに進み、医師に状況を正確に伝えることができます。
- 月経周期の記録: いつから月経不順が始まったか、直近の月経はいつだったか、周期や期間、出血量、月経痛の有無などを記録しておきましょう。可能であれば、基礎体温を測定し、グラフを持参すると、排卵の有無やホルモンバランスの状態を把握する上で非常に役立ちます。
- 問診内容の整理: いつ頃から症状が出たか、どのような月経不順か(周期が短い・長い、無月経など)、他に気になる症状はないか(痛み、出血量、全身症状)、既往歴、服用中の薬、アレルギーの有無、妊娠・出産経験の有無、家族の病歴などを整理しておきましょう。
- 聞きたいことのメモ: 医師に聞きたいこと、不安に思っていることなどをメモしておくと、聞き忘れを防げます。
- 基礎体温表: 記録している場合は持参しましょう。
- お薬手帳: 現在服用している薬がある場合は、お薬手帳を持参しましょう。サプリメントなども含めて伝えると良いでしょう。
これらの情報を整理しておくことで、医師はあなたの状態をより正確に把握し、適切な検査や診断、治療方針を立てることができます。
年代別の月経不順の特徴と対策
月経不順の原因や特徴は、年代によって異なることがあります。それぞれの年代に合わせた対策を考えることが大切です。
20代の月経不順
20代は、学生や社会人としてライフスタイルが大きく変化したり、仕事や人間関係でストレスを抱えやすかったりする年代です。この年代の月経不順の原因としては、以下のようなものが多く見られます。
- ストレス、睡眠不足、不規則な生活: 仕事の忙しさや人間関係の悩みなど、精神的なストレスや生活リズムの乱れがホルモンバランスを崩しやすいです。
- 無理なダイエット: 美容のために過度なダイエットを行い、体重が急激に減少したり痩せすぎたりすることが原因となることがあります。
- 婦人科系の病気の初期: 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、この年代で診断されることの多い病気が原因の場合もあります。
対策: ストレスマネジメント、規則正しい生活、バランスの取れた食事といったセルフケアが有効です。それでも改善しない場合や、不正出血、強い痛みなどを伴う場合は、PCOSなどの病気の可能性も考えられるため、早めに婦人科を受診し、原因を特定することが重要です。特に将来妊娠を希望している場合は、早期の対応が望ましいです。
30代の月経不順
30代は、キャリアアップや結婚、出産など、ライフイベントが多い年代です。仕事と家庭の両立によるストレスや疲労も増えやすい時期です。
- ストレス、疲労: 仕事や育児によるストレス、慢性的な疲労がホルモンバランスに影響を与えることがあります。
- 婦人科系の病気: 子宮筋腫や子宮内膜症など、この年代で発症しやすい婦人科系の病気が原因となることがあります。これらの病気は、月経不順だけでなく、過多月経や強い月経痛を伴うことが多いです。
- 更年期の始まり(プレ更年期): 早い人では30代後半から卵巣機能が緩やかに低下し始め、月経周期が乱れることがあります。
対策: ストレスや疲労を溜め込まない工夫、定期的な婦人科検診による病気の早期発見が重要です。子宮筋腫や子宮内膜症が原因の場合は、適切な治療を受けることで症状が改善します。妊娠を希望している場合は、月経不順を放置せず、早めに婦人科に相談しましょう。不妊治療が必要になることもあります。
40代以降の月経不順
40代に入ると、閉経に向けて卵巣機能が低下していく「更年期」が始まります。この年代の月経不順は、体の自然な変化として起こることが多いです。
- 更年期に伴うホルモン変動: 卵巣機能の低下により、女性ホルモンの分泌が不安定になり、月経周期が短くなったり長くなったり、出血量が変化したりします。最終的には閉経を迎えます。
- 婦人科系の病気: 40代以降も子宮筋腫や子宮内膜症が見られるほか、子宮体がんや卵巣がんなどの悪性疾患のリスクも高まります。不正出血や月経周期の乱れが、これらの病気のサインであることもあります。
対策: 更年期の月経不順は自然な変化ですが、出血量が多かったり、周期が極端に不規則だったりする場合は、病気と区別するためにも婦人科を受診しましょう。更年期症状が辛い場合は、ホルモン補充療法などの治療法もあります。また、この年代からは婦人科がん検診を定期的に受けることが非常に重要です。不正出血は特に注意が必要な症状です。
年代別の月経不順の特徴と対策をまとめた表は以下の通りです。
年代 | 主な原因 | 特徴的な月経不順のタイプ | 対策 |
---|---|---|---|
思春期 | ホルモンバランスの不安定さ | 周期の不規則、無排卵性月経 | 成長とともに安定することが多い。極端な場合は受診。 |
20代 | ストレス、ダイエット、不規則な生活、PCOS | 希発月経、無月経、周期の不規則 | 生活習慣改善、PCOSなどの病気の早期発見。妊娠希望の場合は早期受診。 |
30代 | ストレス、疲労、子宮筋腫、子宮内膜症、プレ更年期 | 過多月経、過長月経、周期の不規則 | ストレスマネジメント、定期検診。病気の治療。妊娠希望の場合は早期受診。 |
40代以降 | 更年期、子宮筋腫、子宮体がん、卵巣がん | 周期の短縮・延長、無月経、不正出血 | 更年期症状対策、病気の鑑別、定期検診(がん検診)。不正出血は特に注意。 |
このように、年代によって月経不順の背景にある原因は異なります。ご自身の年代や症状に合わせて、適切な対処法を検討することが大切です。
まとめ|月経不順で気になる症状は専門家へ相談を
月経不順は、多くの女性が経験する身近な症状ですが、その背景には様々な原因が隠されています。一時的なストレスや疲労による軽度の乱れであれば、生活習慣の改善といったセルフケアで回復することも少なくありません。
しかし、月経不順が長期間続く場合や、周期や出血量が正常範囲から大きく外れている場合、あるいは不正出血や強い痛みを伴う場合は、病気が原因である可能性も考えられます。
月経不順を放置することで、将来の妊娠に影響したり、骨粗しょう症や子宮体がんといった健康リスクが高まったりすることもあります。ご自身の体のサインを見逃さず、気になる症状がある場合は、一人で悩まずに必ず婦人科を受診しましょう。
医師に相談することで、月経不順の正確な原因を特定し、一人ひとりの状態に合わせた適切な診断や治療を受けることができます。基礎体温の記録など、ご自身の月経に関する情報をまとめてから受診すると、よりスムーズな診察につながります。
月経は女性の健康状態を示す大切なバロメーターです。ご自身の体と向き合い、適切なケアをすることで、健康的な毎日を送りましょう。
生理がこない原因や対処法、生理周期を整えるポイントについて、さらに詳しく知りたい方は、okamura-clinic.or.jpのサイトも参考にしてください。
免責事項
この記事は情報提供のみを目的としており、医学的な診断や治療に関するアドバイスを意図したものではありません。ご自身の健康状態について懸念がある場合は、必ず医師や医療専門家にご相談ください。この記事の情報に基づいてご自身で判断された結果に関して、当サイトは一切の責任を負いません。
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